aabb■図 2-15 尿細管上皮細胞(基本型)a:無染色,b:S 染色■図 2-16 尿細管上皮細胞(特殊型)a:円形型,b:類円形型182 第 2 章 尿・糞便検査り,小型のタイプは白血球と同程度のサイズである.細胞質構造は扁平上皮細胞や尿路上皮細胞に類似することがあり,形態の特徴から基本型と特殊型に分けられる.1)基本型 ①鋸歯型:細胞質の辺縁構造は細かいギザギザした鋸歯状を呈し,表面構造は不規則な顆粒状である.細胞質は黄色調を示し,Sternheimer 染色(S 染色)では赤紫色,核は青色に染色される.核は赤血球大の濃縮状である(図 2—15). ②棘突起・アメーバ偽足型:細胞質の辺縁構造は周囲に棘状やアメーバ偽足状の突起があり,表面構造は細顆粒状で色調は黄色調である. ③角柱・角錐台型:細胞質の色調は灰白色調で形状は立体的な角ばった構造である.内腔面側と基底膜面側が平行で基底膜面側が広く台形状を呈する.2)特殊型 ①円形・類円形型:細胞質の色調は灰白色調で,大きさは白血球大の小型の細胞から中~深層型扁平上皮細胞大の大型の細胞である.最も小型の細胞は細胞質が均質状で白血球と比べて厚みがあり,核は無染色では確認できないことがある.中型~大型の細胞は大小不同の集塊状を示し,細胞質が薄く,一部に大きな空胞化がみられるものもある.核は膨化状で辺縁構造は薄い(図 2—16). ②オタマジャクシ・ヘビ型・線維細胞型:細胞質の色調は灰白色調で細胞質は薄く,細長い形をする.表面構造は均質状で辺縁構造は不明瞭である.束状や放射状の配列の集塊を形成して長径は 100μm 以上になることもある.多くは,円柱内や円柱に付着してみられる.また,塩類に付着していることもある(図 2—17). ③洋梨・紡錘型:細胞質の色調は灰白色調で細胞質は薄く,しわ状やひだ状がみられる.表面構造は均質状,辺縁構造は不明瞭である. ④顆粒円柱・空胞変性円柱型:1~2 個の膨化状の核を有し,顆粒円柱や空胞変性円柱に類似した形状を呈する.空胞変性円柱状のものは細胞質内に大小の空胞を形成する(図 2—18).その空胞は空胞変性円柱と比べ大型である.
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