1566 第 14 章 消化器関連検査様々な原発巣に発生したがんが肝転移を起こし得る.転移性肝癌は原発巣の特徴を反映し様々なエコーレベルを呈するが,比較的大きさの揃った多発性の腫瘤として指摘されることが多いため,肝内に多発する腫瘤性病変を認めたときは,まず転移性肝癌を疑う. 転移性肝癌でみられる特徴に,腫瘤の中心部が高エコー像を呈し,辺縁に幅の広い低エコー帯(halo)を呈するbull’s eyeまたはtarget patternと呼ばれるものがある(図14—71).原発性肝癌でみられるhaloは組織学的には線維性の被膜に該当するが,転移性肝癌におけるhaloは組織学的に明らかな線維性の被膜構造は存在せず,多くは腫瘍に圧排された肝実質と腫瘍辺縁部の一部をみているものであると考えられ,原発性肝癌でみられるhaloよりも幅が広いことが多い.転移性肝癌の大きな特徴の1つは,比較的早い段階から中心部の壊死(centralnecrosis)を伴う点であり,中心部に壊死を反映した低~無エコーを呈するものが多い(図14—72).また多くの腫瘤結節が集簇・癒合して一塊となり,腫瘤の辺縁が分葉状を呈するcluster patternとして描出される場合もある(図14—73). iv 肝血管腫(図14—74,75) 肝血管腫は検診等で肝内にしばしば指摘される良性腫瘍であり,肝に発生する良性腫瘍で最も頻度が高いとされる.肝血管腫は海綿状血管腫であり,血管腔が線維性隔壁で網目状の構造をとり,血管内腔に血液が充満している.超音波では隔壁からの反射を反映し,径2cm以下では90%以上が高エコー結節として描出されるが(図14—74),径2cmを超えると高,低エコーの混在する腫瘤性病変として描出されることが多くなる(図14—75).肝血管腫は経時的に,また体位変換や圧迫等により内部エコーが変化するものが存在する.■図14-70 肝内胆管癌腫瘤肝内胆管拡張■図14-71 転移性肝癌(bull’s eye, target pattern)転移性肝癌■図14-72 中心部に壊死を伴う転移性肝癌中心壊死■図14-73 集簇・癒合した転移性肝癌cluster pattern
元のページ ../index.html#22