1536 第 14 章 消化器関連検査いる(図14—29).3.超音波内視鏡検査 超音波内視鏡に用いる機種には,スコープの先端に超音波観測装置が組み込まれた専用機と,通常のスコープの鉗子チャンネルから挿入する細径超音波プローブがあり,対象となる病変によって両者を使い分ける.また,超音波内視鏡検査の対象となる臓器は消化管と膵・胆道に大別されるが,消化管における超音波内視鏡の有用性は,主にがんの深達度診断と粘膜下腫瘍の質的診断である.超音波内視鏡では,正常の胃や大腸の壁構造は5層に観察されるが,この層構造が保たれているか否かによってがんの深達度診断を行うことができる(図14—30).正常部位では,内腔側より第1層(高エコー層,粘膜に相当),第2層(低エコー層,粘膜筋板に相当),第3層(高エコー層,粘膜下層に相当),第4層(低エコー層,固有筋層に相当),第5層(高エコー層,奬膜下層および奬膜に相当)の5層構造が観察される.一方,胃癌が存在する部位では層構造が不明瞭となり,図14—30のように層構造が完全に消失している場合は,がんは奬膜下層を越える浸潤組織型と診断で■図14-28 食道腺癌NBI拡大内視鏡像.黄色破線より上の領域では粘膜の表面構造が不整・不明瞭化し,血管構造にも不整がみられる.黄色破線ががんと非がんの境界であることがわかる.■図14-29 食道扁平上皮癌超拡大内視鏡像.細胞密度が高く,N/C比の高い細胞群において,大小不同の細胞核を認める(黄色破線).正常部胃癌正常部第1層第2層第3層第4層第5層■図14-30 胃癌の超音波内視鏡像
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