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注目すべき脳波波形

 

小児欠神てんかんの患者には,通常,

意識消失発作と一致

して脳波上に両側同期性対称性の

3Hz棘徐波複合

が出現します(図5─4,図5─5)。3Hz棘徐波複合は突発性異常波です。未治療の

小児欠神てんかんでは過呼吸賦活試験で発作が誘発され,全汎性両側同期性で左右対称性の3Hz
棘徐波複合がみられます。若年欠神てんかんでみられる棘徐波複合の周波数は3.5〜4Hzを呈す
ことが多いです。

脳波検査のポイント

 

脳波上に3Hz棘徐波複合が出現している時は

てんかん発作(臨床発作)

がまさに起こっています。

定型欠神発作は意識消失発作が突然始まり突然終了します。発作が終了すると発作前の行動に戻る
ことができます。3Hz棘徐波複合が出現中に患者の

意識消失の有無を確認

しなければなりません。

3Hz棘徐波複合は

過呼吸賦活試験で誘発されやすい

ので,欠神てんかんが疑われる患者で3分間の

過呼吸でそれが誘発されない場合は,過呼吸実施時間を4〜5分に延長し,突発波誘発の有無を評
価する必要があります。加えて眼や口など顔貌の変容の観察も大切です。3Hz棘徐波複合は睡眠
賦活試験でも誘発されやすいのですが,睡眠中は意識確認ができません。ちなみに,欠神発作は
ボーッとして意識がなくなる発作で,発作中は問い掛けに答えません。症状だけからでは,欠神発
作なのか,複雑部分発作なのか判断できない場合が多く,両者の鑑別において臨床脳波検査の意義
は大きいです。

定型欠神発作と非定型欠神発作

 

3Hz棘徐波複合が出現している時に意識消失を伴うものが

定型欠神発作

で,意識消失を伴わな

いものが

非定型欠神発作

です。定型欠神発作か非定型欠神発作かを鑑別するための意識確認は必須

です。通常,非定型欠神発作は定型欠神発作よりも3Hz棘徐波複合の持続時間が長く,また,筋
緊張や脱力を伴いやすく,発作の開始と終了が定型欠神発作に比べはっきりしないのが特徴です。

3 代表的なてんかん発作と脳波

 

疾病・病態と問題脳波

図5─5 提示脳波(図5─4)のポイント