3.白血球分類(白血球像)  

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白血球分類(白血球像)

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検体の取扱い

血漿(EDTA加)

検査の目的

白血球数に異常を認めるとき

白血病など造血器悪性腫瘍を疑うとき

参考基準値

好中球40〜60(%),好酸球3〜5(%),好塩基球0〜2(%),単球3〜6(%),リンパ球
30〜45(%)

(報告者によって異なる)

検査値を

読む際の注意点

細胞数が多い場合または異常細胞の出現があるときは,200個の細胞を観察して百分率
を算出する。

末梢血液塗抹標本は,赤血球が均等に分散している部分を観察する。

白血球分画(白血球の分類)は,白血球数を乗じて得られる絶対数で表示する。

白血球分類で細胞の質的な異常を認めるときは,骨髄穿刺検査を考慮する。

異常値を示す

主な疾患・病態

[好中球数の増減]

表1

参照

[リンパ球数の増減]

表2

参照

白血球分類

の検査は,白血球数や赤血球数に異常が認められたときには必ず実施し,白血

球,赤血球,血小板の各細胞の形態学的特徴を把握することが重要です。

近年,レーザー検出法など自動血液細胞分析装置が普及し,白血球数と白血球の分類が可能
になっています。しかし,異常細胞の出現が考えられる血液疾患などは末梢血液塗抹標本を
作製し,顕微鏡を用いて目視判定で観察することが大切です。特に,白血病の疑いがあって
骨髄穿刺の検査が必要であるか否かを決定する際は目視による正確な白血球分類が要求され
ます。

白血球分類の検査から感染症や白血病の診断が可能となるほか,赤血球の形態より貧血の診
断が,さらに血小板の形態異常として,大型血小板(幼若な血小板)なども観察されます。

白血病は血球をつくる細胞である

造血幹細胞

が骨髄のなかで腫瘍化し,異常に増殖するた

め,正常な血液細胞の増殖が抑えられてしまう病気です。正常細胞は

アポトーシス

(細胞死)

というメカニズムによって細胞が自然に死ぬようにプログラムされています。たとえば,赤
血球の寿命は120日,好中球は数時間,血小板は数日間です。しかし,白血病細胞にはこの
アポトーシスのプログラムがなく,細胞が増え続ける病気です。

白血球分類の検査でみられる正常な成熟好中球の核の形状は,

分葉核

とよばれ2葉(核が2

つに分かれている),3葉(同,3つに分かれる),4葉(同,4つに分かれる)などとよばれま
す。核が分かれていない好中球は,

桿状核球

とよばれやや未熟な細胞です。健常者の末梢血

では3葉が最も多くみられます。5葉のものは通常認められませんが,抗がん剤投与中の末
梢血に見いだされることがあります。

細菌感染症では,好中球が骨髄で大量につくられて末梢血に増えるため,桿状核球やさらに

白血球分類の検査は,白血球数が増加した症例では必須の検査です。末梢血液塗抹標本(ヘ

モグラム)を作製し,顕微鏡を用いてさまざまな形態の白血球を観察すると,形態の異常から
感染症,腫瘍などの病態を推定することができます。