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  1章 血液一般検査

とが大切です。

成人でのWBCは3,500〜9,500個

/

μLです。これは血液1mLあたりでは350万個から950万

個も存在していることになります。成人では,好中球がもっとも多く40〜60%を占め,リ
ンパ球が30〜45%ほどです(ただし,6歳くらいまでの小児では,リンパ球の数は50%以上
の高い割合を示します)。単球,好酸球,好塩基球はそれぞれ3〜6%,3〜5%,0〜2%で
す。末梢血中にみられる白血球を(

)に,各白血球が異常値を示す代表的な疾患を(

)に

示します。

用語解説

*‌‌

類白血病反応:類白血病反応は悪性腫瘍,重症細菌感染症,ウイルス感染症,水銀やヒ素中毒などの基
礎疾患による二次的な反応として起こる。末梢血では白血球数5万

/

μL以上の増加となり,骨髄球より

幼若な白血球が多数みられ,白血病様の血液学的所見を示すが,反応性による結果であり腫瘍による増
殖の結果ではない。白血球が増殖する機序は,造血因子(G-CSF)やサイトカインが関与している。治
療は始めからもっている基礎疾患を完治することが重要である。

 異常値を示す代表的な疾患

好中球

リンパ球

単 球

好酸球

好塩基球

増加する疾患

細菌感染症,急性出血,骨
髄性白血病,ホジキン病,
関節リウマチ,ベーチェッ
ト病,水銀・鉛中毒,心筋
梗塞,熱傷,骨折ほか

百日咳,結核,麻疹,
リンパ性白血病,バ
セドウ病,アジソン
病,梅毒,小児期(生
理的)

風疹・麻疹などの発疹
性感染症,猩紅熱,単
球性白血病,慢性肝炎,
肝硬変症,マラリア,
トリパノソーマ病

寄生虫疾患,アレル
ギー疾患,気管支喘
息,蕁麻疹,薬物ア

レルギー,皮膚筋炎,

悪性腫瘍の転移

アレルギー疾患

(蕁麻疹),粘液

水腫,潰瘍性大
腸炎

基準値

40〜60%

30〜45%

3〜6%

3〜5%

0〜2%

減少する疾患

再生不良性貧血,悪性貧血,
骨髄腫,顆粒球減少症,粟
粒結核,チフス,ウイルス
性疾患,放射線照射,肝硬
変症,薬物(抗がん剤,抗
生物質)

悪性リンパ腫,結核,
慢性骨髄性白血病,
全身性エリテマトー
デス,AIDS

知られていない

腸チフス

知られていない

好中球

リンパ球

単球

好酸球

好塩基球

 末梢血液中の白血球(光学顕微鏡写真)