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1章 血液一般検査
赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値
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検体の取扱い
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全血(EDTA添加静脈全血)
検査の目的
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貧血や赤血球増加症を疑うとき
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検診や人間ドックの基本的検査
参考基準値
赤血球数(万
/
μL)
ヘモグロビン量(g
/
dL)ヘマトクリット値(%)
男性
平均470(410〜530)
平均16(14〜18)
平均42(36〜48)
女性
平均430(380〜480)
平均14(12〜16)
平均37(34〜43)
検査値を
読む際の注意点
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検査の採血前に,脱水症状や激しい下痢の有無を確認する。
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多血症においては,通常緊急性はありません。
異常値を示す
主な疾患・病態
[高 値]
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赤血球増加症(多血症)
[低 値]
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貧血
薬剤による
検査値への影響
[赤血球数減少]
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機序が再生不良性貧血による場合:クロラムフェニコール,アジスロマイシン,ST合剤,
チクロピジン,D-ペニシラミンなど
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鉄芽球性貧血による場合:クロラムフェニコール,イソニアジドなど
●
赤血球癆
ろう
による場合:アロプリノール,フェニトイン,カルバマゼピン,クロルプロマ
ジン,アザチオプリン,タクロリムス,エストロゲンなど
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溶血性貧血による場合:フェニトイン,プロベネシド,アンピシリン,カルベニシリン,
カルボプラチン,シスプラチンほか多数
[赤血球数上昇]
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造血因子(エリスロポエチン,ダルベポエチン),蛋白同化ステロイド(メテノロン),テ
ストステロンなど
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血液の液体成分を血漿といい,赤血球,白血球,血小板などが浮遊しています。
白血球数
(WBC),
赤血球数
(RBC),
血小板数
(PLT),
ヘモグロビン濃度
(Hb),
ヘマトクリット値
(Ht),
赤血球恒数
(MCV・MCH・MCHC)を含んだ基本的検査は,自動血球計数器を用い
て短時間で容易に結果を得ることができます。
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赤血球は7〜8μmのドーナツ状の形をし,中心付近が薄くなっています(
図1
)。赤血球には
酸素を運ぶヘモグロビンが多く含まれていますが,RBCやHbが減少すると息切れや疲れや
すいなどの貧血症状がでてきます。また,貧血では,幼若な赤血球である
網(状)赤血球
が
末梢血にみられます。
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ヘモグロビンは,血色素ともいわれ赤血球に含まれる主要な成分で組織に酸素を運搬する役
割があり,内部に鉄を含み末梢血液100mL中に含まれるヘモグロビンの量(g
/
dL)で表され
ます。年齢によって変化し,新生児では一時的に20g
/
dLを超えることがあります。
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ヘマトクリット値は,全血液中に占める赤血球の割合です。Htの測定は毛細管に任意量の
赤血球数,ヘモグロビン濃度,白血球数および血小板数などの測定はCBC(complete
blood count,全血球算定)とよばれ,全身性疾患や血液疾患の有無を確認するのに用いられ
る基本的な検査です。