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ら、癌を放っておけば一年そこそこで内腔を占拠して腸閉塞を起こしてきます、ひどい場合はその手前で破裂を起こして便が腹腔に飛び散り、腹膜炎を起こして緊急手術を受けなければならなくなります、しかも、その時点では周囲のリンパ節や主に肝臓などに転移して手遅れ状態という事態にもなりかねません、一刻も早く手術した方がいい、大腸の手術は胃の手術などに比べてはるかに簡単で、近藤さんの言うような後腐れもほとんどありません等々。何よりもまず私の本を読んでもらって下さい、それでもうんと言わないようなら、改めてお電話ください、とつけ加えた。岡さんから手紙が来たのは、それから一ヵ月近く経った頃だった。「先生の本を読んで、家内は漸く手術を受けることを決意してくれました。〇月×日に癌を発見してくれた病院に入院することになりました。手術の結果についてはまた改めてご報告します」朗報だ。私の書いたものが役立ったのだ。著者冥利に尽きることこの上ない。程なく岡さんは手術結果を報告してくれた。癌は奇麗に取り切れた、リンパ節30

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