最後に,累積発生割合(1-KM推定)の概念について紹介します。累積発
生割合(1-KM推定)は,カプランマイヤー法で推定した生存割合を1から
引いたものを意味します。

図7‒2

の作成に用いたデータを用いて累積発生割

合(1-KM推定)を求めグラフにしたものを

図7‒3

に示します。グラフは

累積発生割合0からスタートし,観察期間とともに上昇します。

図7‒2

7‒3

は同じ事実を示しています。

(4)Cox回帰分析

 生存時間を扱うことができる多変量回帰モデルとして,ポアソン(Pois-
son)回帰モデルとCox回帰モデルがよく用いられます。ポアソン回帰モデ
ルは発生率(アウトカムが発生する平均速度)を扱うのに対し,Cox回帰モ
デルはハザード(アウトカムが発生する瞬間速度)を扱います。ここでは,
後述の競合リスクを考慮した分析方法につながるCox回帰モデルについて
説明します。

115

第7章

 ● 

生存時間分析における競合リスクモデル

1章

2章

3章

4章

5章

6章

7章

図7‒3

 累積発生割合(1-KM推定)の例

0

0.00

0.25

0.50

0.75

1.00

10

観察期間(週)

Number at risk

再発の累積発生割合(1-KM推定)

group=対照群(上)21

21

8

15

2

8

0

4

0

0

group=介入群(下)

20

30

40