り(non‒informative censoring),後者は情報のある打ち切り(informative 
censoring)
とも呼ばれます。
 従来の生存時間分析(カプランマイヤー法,Cox回帰分析)では,ランダ
ムな打ち切りを仮定しています。「打ち切りを受けた患者は(その後観察でき
ないにしても)観察を継続できている患者とアウトカムの発生率がその時点
で同じである」という仮定です。ランダムな打ち切りの典型例としては,研
究期間終了や,地域住民のコホート研究における転居が挙げられます。ラン
ダムでない打ち切りについては,競合リスクを考慮した分析方法のところで
詳述します。

(3)カプランマイヤー法

 カプランマイヤー〔Kaplan‒Meier(KM)〕法は,ある時点までに生存して
いる者の割合(生存割合)を表す生存関数を曲線として表現する方法です。

図7‒2

に,一般公開されているデータ(The Gehan‒Freirich Survival Data

1)

を使って作成したカプランマイヤー曲線を示します。このデータは,急性白
血病患者に対しある治療を行った介入群21人と対照群21人の,白血病の寛
解状態から(研究上のアウトカムである)再発を起こすまでの時間に関する
情報を含みます。
 

図7‒2

において横軸は観察期間を表し,縦軸は生存割合(この研究では無

再発割合)を表します。時間とともにアウトカムが発生し,無再発割合が階
段状に下がっています。介入群に比べ,対照群では早い段階から無再発割合
が下がっています。①に示すような,所々に上に伸びている「ヒゲ」は,そ
の時点で打ち切りが発生したことを意味します。②に示す「Number at risk」
とは,各時点の追跡対象者数を意味します。観察期間が長くなるにつれ,ア
ウトカムや打ち切り発生により追跡対象者数は少なくなっています。
 カプランマイヤー法に関連して,2つ(以上)の群の生存時間を比較する
方法は以下のようにいくつかあります。なお,これらは単純な群間比較です
ので,交絡因子の影響が考慮されていないことに注意が必要です。

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第7章

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生存時間分析における競合リスクモデル

1章

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3章

4章

5章

6章

7章