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メディクイックブック 2015 金原出版

メディクイックブック 2015 金原出版

 核酸アナログ製剤はB

ビーがたかんえん

型肝炎ウイルスの遺伝子

(D

ディーエヌエー

NA)が複製される過程を阻害して、ウイルス

が増えるのを直接おさえる薬です。
 これらの薬の中で最初に登場したのはゼフィッ
クス(一般名:ラミブジン)で、2000年に認可
されました。ゼフィックスの抗ウイルス効果は強
力でしたが、薬

やくざいたいせい

剤耐性ウイルスが出現しやすいと

いう問題がありました。内服を開始して3年後に
は40〜50%の患者さんに薬剤耐性ウイルスが出
現し、肝炎が再

さいねん

燃しました。

 そこで、ゼフィックス耐

たいせいへんい

性変異ウイルスにも有

効なヘプセラ(一般名:アデホビル ピボキシル)
が2004年に認可されました。ヘプセラは単独で
は使用せず、ゼフィックスと併用します。
 2006年には、抗ウイルス効果はゼフィックス
よりも強く、薬剤耐性ウイルスの出現率が低いバ
ラクルード(一般名:エンテカビル)が認可され、
現在でも核酸アナログ製剤を使用する場合の第一
選択となっています。
 さらに2014年には、抗ウイルス効果はバラク
ルードとほぼ同等で、薬剤耐性ウイルスが出現し
にくいうえに、従来の核酸アナログ製剤に治療抵
抗性のウイルスに対しても有効なテノゼット(一
般名:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩)
が認可されました。バラクルードとともに核酸ア
ナログ製剤を使用する場合の第一選択になるもの
と期待されています。

●飲み方と効果

ゼフィックス:通常1回1錠(100mg)を1日1回
飲みます。
ヘプセラ:通常1回1錠(10mg)を1日1回飲み
ます。
バラクルード:通常1回1錠(0.5mg)を1日1回
空腹時(食事によって薬の吸収が悪くなるため、
食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前の時
間帯)に飲みます。
テノゼット:通常1回1錠(300mg)を1日1回飲

みます。
 なお、バラクルードとテノゼットはおもに腎

じんぞう

から排

はいせつ

泄されるため、クレアチニン・クリアラン

スという腎臓の機能を表す検査値が50mL/分未
満の腎機能障害のある患者さんでは、本剤の投与
間隔を障害の程度に応じて2〜7日に1回服用とい
うように調節します。 
 ウイルス量が徐々に減少するのに伴って、肝細
胞の壊れ具合を表すA

エーエスティー

ST、A

エーエルティー

LTなどの数値も徐々

に改善します。国内の臨床試験では、治療を開始
して48週後にはバラクルードで67.6%、テノゼッ
トで77.1%の方のウイルス量が測定できないレベ
ルまで減少し、バラクルードで93.8%、テノゼッ
トで74.7%の方にALTの正常化が見られています。
肝炎の鎮静化に伴い、肝臓組織のダメージも改善
します。
 また、バラクルード耐性ウイルスの発現率は3
年目で1.7%であり、耐性を生じにくい薬剤であ
るといえます。一方、核酸アナログ製剤として初
めてテノゼットが投与された症例においては、薬
剤耐性ウイルスが出現したという報告はこれまで
にありません。

●副作用と注意

ゼフィックス:国内での臨床試験でのおもな副作
用は軽い頭痛と倦

けんたいかん

怠感(だるさ)です。重大な副

作用として血小板減少が0.78%に見られるほか、

おうもんきんゆうかいしょう

紋筋融解症が現れることがあります。

ヘプセラ:副作用としては軽い頭痛、吐き気、腹
痛、下痢などの症状が出ることがあります。重大
な副作用として腎

じんふぜん

不全、ファンコニ症候群などの

重度の腎機能障害が現れることがあります。とく
に、腎機能障害がある方、または過去に腎機能障
害を起こしたことのある方は、薬の量を減らす場
合もありますので、医師に知らせてください。ま
た、長期投与により、骨痛、関節痛、筋力低下を
伴う骨軟化症が現れることがあります。さらに、
乳酸アシドーシスおよび脂肪沈着による重度の肝

5消化器・肝・胆・膵

e肝・胆囊疾患治療薬5

商品名:ゼフィックス、ヘプセラ、バラクルード、テノゼット

かくさん

酸アナログ製

せいざい

−飲み薬−(B型慢性肝炎治療薬)

その1/全2ページ中