眼科

複視をみたら

2008年11月号(50巻 12号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 複視をみたら
序論
三村 治
1. 両眼複視の診断
三村 治
2. 複視の薬物療法と予後
大井 長和
3. 複視の手術的治療
木村 亜紀子
4. Fisher症候群と関連疾患について
上田 昌美
■表紙の解説
小口病11.
小口 芳久
■展望
視覚・電気生理の展望 −2) 眼科治療学、2005年度−
島田 佳明
■黄頁の知識
青色発光ダイオード
小口 芳久
■原著
18歳未満児における春季のカタルの特徴
渡辺 純子
■臨床報告
眼瞼に発生した木村病の1例
田中 久美子
■学会抄録
第114回京都眼科学会
◇10月23日から東京国際フォーラムにて臨床眼科学会が開催されました。目玉はインストラクションコースに事前予約制を取り入れたということでしょう。将来、米国のように受講料徴収制度に移行することを踏まえての試みのようです。

◇一方で参加者数が8,000名を超えて、過去最高の参加者数となったようです。そのための問題点が露呈しました。学会2日目のホールC(1,500席)で行われた招待講演、特別講演では満席で聴衆全員が入場できず、急遽ホールB7で講演を中継することになりました。しかし阿部春樹教授の特別講演のパワーポイント画像は、ホールCのスクリーンに映し出されたものをカメラで中継したので、眼底写真などのディテールが不鮮明でした。

◇2日目、3日目の午後はほとんどの会場がインストラクションコースでしたが、既に予約で満席であったため、学会の当日登録での参加者が、どの会場にも入れないという不満があったとも聞いています。学会が盛況になるのは好ましいことですが、参加者に満足してもらえる学会運営が難しくなってくると感じました。

◇さて2008年の眼科誌の表紙を飾っているのは小口病ですが、先人の観察された本症の所見の多様性について解説されています。現在では遺伝子レベルで病態が理解されるようになっていますが、それでも個々の症例での眼底所見などの多様性はうまく説明できていないようです。

◇今月号の特集は複視です。複視を生じる眼筋麻痺性疾患に対してはアレルギー反応を示す眼科医が多いようです。その理由の最大の原因は軽度の眼位異常しか示さない不全麻痺患者が多いということだと私は思っています。いったい、左右眼のどの筋が麻痺しているのかという基本的な事項、すなわち診療の入り口の段階でまず混乱するということがあるようです。その結果、単なる屈折異常で患者が 「だぶって見える」というような症例まで複視だと判断してORTにヘスチャートをオーダーする眼科医が少なくありません。私自身は外来診察室で、両眼開放の状態で、縦および横においた白色ボールペンの像が、上下または左右で2つに分かれて存在するということを患者に確認させます。そのうえで、遮閉板を使用して片眼を隠し、どちらの像が消えるかを尋ねるよう若い研修医には指導しています。水平性複視であれば同側性複視VS交差性複視を、垂直性複視であればRH VS LHを診断して、そのうえで両眼開放時の像が8方向のいずれで最大になるかを尋ねて麻痺筋を同定するわけです。専門家である三村 治先生の解説にある赤色フィルター試験というのは同じことをみているのだと思いますが、さすが専門家が用いている方法は、よりスマートだなと感じました。是非次回から試してみたいと思います。

(飯島裕幸・記)