眼科

視神経炎・視神経症アップデート

2008年08月号(50巻 08号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 視神経炎・視神経症アップデート
序論
後藤 浩
1. 視神経炎の診断
高木 峰夫
2. 視神経炎・視神経症の治療
中馬 秀樹
3. 遺伝性視神経症
中村 誠
4. 多発性硬化症 最近の話題
内海 裕也
5. 視神経炎のトランスレーショナルリサーチ
毛塚 剛司
■表紙の解説
小口病8.
小口 芳久
■展望
硝子体の展望 −2002年度−
水谷 吉宏
■綜説
未熟児網膜症のレーザー光凝固
平岡 美依奈
■網膜硝子体手術メンタル編
109. 科学性と人間性
出田 秀尚
■後眼部疾患
22. 網膜色素上皮障害
渡辺 五郎
■原著
眼内移行がみられた旋尾線虫の1例
原 崇彰
角膜異物を塞栓子として利用する白内障手術手順
八木橋 朋之
角膜ジストロフィに対する層状角膜移植術後に不可逆性散瞳を呈した1例
大西 貴子
◇今年は梅雨明けが例年より早く、7月半ばには猛暑となった。先日、生涯教育講座で下車した新神戸駅の裏山は一斉の蝉しぐれであった。中尾雄三先生の講演を拝聴して、視神経疾患の診断にはMRIのオーダーの仕方がいかに重要かを思い知らされた。今月の特集「視神経炎・視神経症アップデート」でも視神経炎の診断は最終的にMRI 検査での炎症所見の有無が決め手になるとのことである。一方で、T1強調、T2強調、STIR、FLAIR、拡散強調画像の特性を熟知して、それに応じたMRIのオーダーを出せる眼科医は少ないと思われる。本特集の理解のために、この小欄で読影の基本を整理してみた。1・T1強調は脳では白質と灰白質のコントラストが実際のそれに近い画像である。灰白質は暗く、白質は白く(高信号に)写る。眼窩では硝子体は暗く写り、眼窩脂肪は白である。2・T2強調は脳の白質と灰白質のコントラストが逆転する。すなわち表層は白く、実質(白質)は暗く写る。眼窩では硝子体は白く写る。脂肪はやはり白い。3・STIRはT2強調であるが、反転パルスを加えて脂肪からの信号を抑制する。したがって硝子体は白いが眼窩脂肪からの信号はなくなり暗くなる。このため視神経がよくみえる。炎症があるとその部の視神経が高信号になり、球後視神経炎の診断に不可欠である。4・FLAIRはT2強調であるが、反転パルスを加えることで髄液からの信号が抑制されている。このため水分がほとんどである硝子体は暗く写る。脳室に接した多発性硬化症のプラークの検出に優れている。5・拡散強調
画像は超急性期の脳梗塞を捉えることができる。6・炎症を同定するにはT1強調の脂肪抑制造影法がよい。肥厚性硬膜炎、視神経炎を診断できる。

◇球後視神経炎は脱髄疾患であり、ステロイドパルスは視力の回復を早めるが、長期予後は無治療と同じというのが我々の認識であった。しかし、自己免疫性視神経症という疾患群が明らかになってきており、これらは脱髄ではなく、視神経の血管炎によって発症すると考えられている。ステロイドパルスに反応するが、再発性あるいは依存性になりやすい。最近、細胞膜水チャンネルであるアクアポリンに対する抗体による視神経症が注目されている。

◇未熟児網膜症(ROP)は極小未熟児の生存率の向上により再び増加している。光凝固治療は欧米より20年も早く、永田 誠先生によってその有効性が報告されている。日本はROP治療の先進国であったが、最近、ROPの光凝固ができない眼科医が増えているとのことである。眼科といえども専門に分化されるのは時代の趨勢であろうが、その前に眼底もしっかりみられるように、大学の医局で教育することが必要であろう。

(岸 章治・記)