眼科

網膜色素変性の診療

2008年06月号(50巻 06号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 網膜色素変性の診療
序論
飯島 裕幸
1. 網膜色素変性の検査(OCTによるIS/OS評価,網膜厚も含めて)
横地 みどり
2. 遺伝子異常と症状、遺伝相談
中澤 満
3. 診断書
簗島 謙次
4. 進行予想(ハンフリー視野計での進行)
飯島 裕幸
5. ロービジョンケア
高橋 広
6. 新しい治療法の展望(遺伝子治療、人工網膜)
村上 裕介
■表紙の解説
小口病6.
小口 芳久
■展望
硝子体の展望 −2003年度−
柏倉 志歩
■綜説
Vogt−小柳−原田病
宮永 将
■網膜硝子体手術メンタル編
108. 靴を揃える
出田 秀尚
■後眼部疾患
20. 眼底の後極部に白点を生じる疾患
板倉 宏高
■原著
網膜中心動脈閉塞症における全身合併症の検討
忍足 直子
■臨床報告
幼児の睫毛と頭髪に寄生したケジラミ症の1例
武藤 哲也
網膜動脈閉塞症31症例の臨床経過
岡本 紀夫
◇最近、熊本市内の湖畔傍に居を移したのですが、自宅の裏に、阿蘇伏流水が湧き水となり、清流を成しています。今の時期、その清流に蛍が保護されており、自宅の庭から乱舞する多数の蛍を見ることができます。のんびりと自宅で蛍を眺めていると、日本の四季の移ろいが見せる自然の景観美に見惚れてしまいます。年を取ると、自然や歴史が好きになるという話はよく聞きます。確かに、40代後半に至り、私も自然と歴史に嵌っています。暇ができると、熊本藩の歴史を調べて、史跡を歩いて回ったり、江戸幕藩体制の研究書を読んだりしています。古文書を読む勉強も始めました。史跡巡りのついでに、鄙びた風情が残された古都の景観を見るのも楽しくて、世相にかかわりなく老後にも活用できる趣味として、確かに自然と歴史は重宝します。熊本藩の歴史を調べてい
ると、藩主たちが眼病を患って、いろいろと治療を受けていることに気がつき、只今、結構本気で調査研究中です。

◇でも歴史を読み込んでいると、我々のかかわった診療や研究は、どのくらいの期間、歴史の検証に耐え得るのだろうか、と自問させられます。10年後の教科書や論文にもまだ引用されているのか、あるいは50年ぐらい持ってくれたら嬉しいのですが、やっぱり、せいぜい数年間が良いところかなあとも感じます。臨床医や研究者にとって、次世代の人が記憶するに足る素晴らしい業績を残すことは、やはり夢のひとつでしょう。

◇本年の表紙は「小口病」ですが、小口病と小口忠太の名は、深く眼科の歴史に刻み付けられており、日本眼科学会が世界に誇るべき素晴らしい業績です。解説文をその孫にあたる小口芳久先生(前
慶応大学眼科教授であり、本誌の前編集委員でもある)が執筆されておられます。眼科医の系譜と言えば、上記の細川忠興は、馬(眞)島流の眼科医を招聘したことが記録に残されていますが、その馬嶋流37代目は、馬嶋慶直先生(前藤田保健衛生大学眼科教授)・昭生先生(前名古屋市立大学眼科教授)であり、連綿とその系譜が継承されています。また産業医科大学の田原昭彦教授は、筑前黒田藩の藩醫であった田原流眼科の17代目にあたります。ちなみに我々の医局で病棟医長をしてくれているスタッフの家系も、江戸の享保年間から現在に至るまで、眼科を受け継いできた有名な系譜です。「歴史と伝統、恐るべし」です。

◇特集は、「網膜色素変性の診療」です。歴史的にも古くから知られた疾患ですが、最新の画像診断、遺伝子解析、遺伝子治療や人工網膜と、続々と新世代の診療手法が新たな視点でチャレンジされています。しかし歴史を踏まえ、先達の業績に敬意を払ってこそ、革新的な研究が可能になるのだと思います。また「硝子体の展望」は、記載された膨大な数に及ぶ最新の手術治療の論文、あるいは遺伝子改変動物などを含めた最新の分子生物学的研究などが、伝統を引き継ぎながらも、凄い勢いで革新されていることを窺わせます。本号では、「Vogt−小柳−原田病」に関する綜説、網膜動脈閉塞性疾患に関連した原著論文や臨床報告を含めて、多彩な眼底疾患を勉強するのには最適の編集となっております。

(谷原秀信・記)