眼科

Quality of Vision最近の話題

2008年05月号(50巻 05号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 Quality of Vision最近の話題
序論
谷原 秀信
1. QOVとQOLの評価 −視覚光学と波面解析による評価 −
畑田 豊彦
2. 白内障手術
大谷 伸一郎
3. 屈折矯正手術
根岸 一乃
4. コンタクトレンズ
植田 喜一
5. 眼鏡
梶田 雅義
6. 緑内障
国松 志保
7. 網膜・硝子体
藤田 京子
■表紙の解説
小口病5.
小口 芳久
■展望
涙器の展望 −2004年度−
大野木 淳二
■綜説
近視性脈絡膜新生血管
大野 京子
■黄頁の知識
Toxic anterior segment syndrome
小口 芳久
■後眼部疾患
19.嚢胞様黄斑浮腫をきたす疾患
高橋 牧
■臨床報告
片眼性ステロイド依存性視神経症を呈した蝶形骨洞アスペルギルス症の1例
杉本 貴子
網膜下白色病変を呈した成人T細胞白血病リンパ腫の1例
中込 友美
◇2月の手術学会に次いで、4月17日から4日間再び横浜で日眼総会が開催されました。今回の学会ではさまざまな新しい試みが取り入れられました。そのひとつに、学会初日午前中に行われたショートトークというセッションがあります。これは全ポスター発表演者が自身の発表演題内容を、デジタルプレゼンテーションで紹介するものです。1題あたり3分間と短く、質疑もありませんが、比較的短時間で、自分が関係する分野のポスター発表の内容にひととおり目を通すことができる利点があります。その後でポスター会場に行って、詳しいデータを確認し、学会2日目、3日目に設定されているポスター討論で、発表者と意見を交換することができます。これまで、軽視されがちであったポスター演題の注目度が、一気に上昇したのではないかと思います。

◇さて本誌の目玉である特集ではquality of vision(QOV)を取り上げています。QOLやQOVといった概念が登場して久しいですが、それを臨床研究で扱うには、質問表による評価法が用いられてきました。なかでもVFQ-25という尺度を耳にする機会は最近増えてきたように思います。矯正視力による臨床効果の客観的評価はもちろん重要ですが、それだけの議論では眼科医のみの自己満足の議論に陥る危険性もあります。5段階の質問評価点数では、科学的な解析には物足りない気もしますが、最近注目されるようになってきたvaluebased medicineなどの研究には、患者さんの満足度を評価するVFQ-25のような指標の重要性が
ますます増してくるものと思われます。

◇網膜の分野では、加齢黄斑変性に代表される脈絡膜新生血管(CNV)に対する治療研究の発表がたいへんに増加してきています。従来のレーザー光凝固治療、黄斑下手術などの治療技術に続いて、光線力学的療法(PDT)が広く国内にも普及し、さらに近年、トリアムシノロンによる治療や、ベバシズマブなど抗VEGF 薬剤による治療が行えるようになってきたからです。その中で、強度近視に伴う脈絡膜新生血管(近視性CNV)は日本人には多いものの、その治療は眼科臨床医にとって、悩ましい疾患対象のひとつではないでしょうか。本号の綜説では、この近視性CNV に焦点をあてて、東京医科歯科大学の大野京子先生に自身の豊富な臨床データもまじえて、わかりやすく解説いただきました。PDTなどでCNVを消失させて、短期的な視力予後を改善できても、その後、病変周囲に網脈絡膜萎縮巣が広がってくると、長期的な視力予後は不良であるというこの疾患特有の問題点が特に印象深く感じられます。

◇そのほか、涙器の展望、黄頁のToxic anteriorsegment syndrome、シリーズ後眼部疾患で取り上げられた嚢胞様黄斑浮腫、臨床報告の蝶形骨洞アスペルギルス症、成人T細胞白血病リンパ腫など、いずれも興味深く、多くの先生方のお役にたてる内容です。

(飯島裕幸・記)