失語症の源流を訪ねて 言語聴覚士のカルテから

失語症の基礎理論を臨床体験から読み解き直してわかりやすく解説!

著 者 小嶋 知幸
定 価 3,850円
(3,500円+税)
発行日 2014/04/30
ISBN 978-4-307-75039-4

B5判・152頁

在庫状況 あり

失語症者の障害構造は決して一様ではない。個々の失語症者の障害メカニズムを適切に分析し、最新の知見に裏打ちされたオーダーメイドの機能回復訓練プランを提供することをめざす。とっつきにくい学説や理論を、著者自らの臨床体験を使ってわかりやすく読み解き直していく知的冒険の旅。19世紀のブローカ、ウェルニッケの「古典論」まで神経心理学の歴史をさかのぼり、そこから20世紀の「新古典主義」「ボストン分類」へ。最低限共通認識にしておきたい基礎知識をこの1冊で習得できる。
序文 「そこから」ですか!? 失語症

I.神経心理学前史鳥瞰
 1.古代から中世
 2.ルネサンスから18世紀
 3.19世紀前半─ブローカ前夜(〜1861年)

II.失語学の開花─古典論の成立(1861年〜)
 1.ブローカ─大脳局在論の確立
 2.ウェルニッケ─古典的言語情報処理モデルの構築
 3.イギリス神経心理学の系譜
 4.ポスト・ウェルニッケ─19世紀末の議論と発展

III.ことばのメカニズムと失語症状
 1.聴く(聴覚的理解)
 2.話す(呼称)
 3.話す(復唱)
 4.読む(読解)
 5.読む(音読)
 6.書く(書称)
 7.書く(書取)
 8.文の処理

IV.日本の古典論─大橋失語学の源流
 1.ブローカ失語─文法中枢の謎
 2.ウェルニッケ失語─失語の中の失語?
 3.伝導失語─復唱障害再考
 4.健忘失語─失語症記憶障害説再考
 5.「超皮質性」失語─言語知性論再考
 6.純粋型

V.脳がことばを取り戻すとき─失語症回復への長い道のり
 1.発病からの時期に応じた失語症回復の脳内メカニズム
 2.失語症の長期回復に寄与する脳部位について
 3.失語症の伴走者として─小児失語の長期にわたる回復経過に学ぶ

主要参考文献
索引
あとがき─「間に合わなかった世代」にできること