子宮頸癌取扱い規約 病理編 第4版

WHO 2014分類に基づき「病理学的取扱い」を改訂!

編 集 日本産科婦人科学会 / 日本病理学会
定 価 4,320円
(4,000円+税)
発行日 2017/07/10
ISBN 978-4-307-30132-9

B5判・112頁・図数:11枚・カラー図数:102枚

在庫状況 あり

WHO組織学的分類(2014年)に基づき「病理学的取扱い」の内容を一新。組織学的予後因子や腫瘍径の評価、リンパ節転移の扱いについての解説が加えられ、前版からの主な変更点・留意事項も明示された。
 また、新たに病理診断報告書の記載様式例や免疫組織化学の一覧表なども加わった。扁平上皮癌の前駆病変の分類や微小浸潤扁平上皮癌の評価については、考え方の変遷とともに図表を用いて説明されている。


※本書は『子宮頸癌取扱い規約 第3版』(2012年)の「第3部:病理学的取扱い」「第4部:子宮頸癌の組織図譜」を独立させ、WHO組織学的分類の改訂(2014年)に伴い「病理編」として改訂したものです。「進行期分類」「リンパ節の部位と名称」については、第3版発刊後に運用上問題となったいくつかの点を加筆・修正しています。

※「臨床編」につきましては、改訂時期が未定となっております。
引き続き第3版をご活用いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
1.病理診断報告書の記載法
 a.組織学的予後因子
 b.腫瘍径の評価
 c.治療効果判定
 d.リンパ節転移の扱い

2.切除・摘出検体の取扱い
 a.生検材料
 b.子宮頸部円錐切除材料
 c.子宮摘出材料

3.術中迅速組織診断

4.進行期分類
 a.臨床進行期分類(日産婦2011、FIGO 2008)
 b.TNM 分類(UICC 第8版に準じる)
 c.リンパ節の部位と名称

5.組織学的分類
 a.はじめに
 b.組織学的分類の主な変更点と留意事項
 c.組織学的異型度(Grade)
 d.組織学的分類
 e.組織学的分類の説明
  I.上皮性腫瘍 Epithelial tumors
   A.扁平上皮病変および前駆病変 Squamous cell tumors and precursors
   B.腺腫瘍および前駆病変 Glandular tumors and precursors
   C.良性腺腫瘍および腫瘍類似病変 Benign glandular tumors and tumor-like lesions
   D.その他の上皮性腫瘍 Other epithelial tumors
   E.神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine tumors
  II.間葉性腫瘍および腫瘍類似病変 Mesenchymal tumors and tumor-like lesions
   A.良性 Benign
   B.悪性 Malignant
   C.腫瘍類似病変 Tumor-like lesions
  III.上皮性・間葉性混合腫瘍 Mixed epithelial and mesenchymal tumors
   A.腺筋腫 Adenomyoma
   B.腺肉腫 Adenosarcoma
   C.癌肉腫 Carcinosarcoma
  IV.メラノサイト腫瘍 Melanocytic tumors
   A.青色母斑 Blue nevus
   B.悪性黒色腫 Malignant melanoma
  V.胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
   A.卵黄嚢腫瘍 Yolk sac tumor
  VI.リンパ性および骨髄性腫瘍 Lymphoid and myeloid tumors
   A.リンパ腫 Lymphomas
   B.骨髄性腫瘍 Myeloid neoplasms
  VII.二次性腫瘍 Secondary tumors

6.図譜
 扁平上皮病変および前駆病変 図譜1〜32
 腺腫瘍および前駆病変 図譜33〜59
 良性腺腫瘍および腫瘍類似病変 図譜60〜81
 その他の上皮性腫瘍 図譜82〜87
 神経内分泌腫瘍 図譜88〜90
 間葉系腫瘍および腫瘍類似病変 図譜91〜94
 上皮性・間葉性混合腫瘍 図譜95〜100
 メラノサイト腫瘍 図譜101、102
 日本産科婦人科学会は、1952年に当時、婦人科悪性腫瘍の多くを占めていた子宮頸癌の全国的な登録と治療成績の集計を目的に、子宮癌委員会を設置した。子宮頸癌登録のために多項目に及ぶ規則がこの委員会によって作成され、これは、FIGO(The International Federation of Gynecology and Obstetrics:世界産婦人科連合)、UICC(Union for International Cancer Control:国際対がん連合)、WHO(World Health Organization:世界保健機関)などの国際的機関によって提案された規則を拠り所とした。その結果、登録施設による毎年の子宮頸癌の登録と治療成績が日本産科婦人科学会雑誌に開示され、臨床的な国際比較も可能となった。日本産科婦人科学会はFIGOによる国際臨床進行期分類を1961年に初めて採用したが、その後の分類の改訂とその変遷、日本の現状を整理する必要性から、学会内に設置された子宮頸癌取扱い規約編集会によって『子宮頸癌取扱い規約とその解説』が1982年11月に発刊された。さらに、子宮頸癌の治療に関わる諸学会によって公認された規約に改めるべく、1984年8月に日本病理学会ならびに日本医学放射線学会の協力を得て子宮頸癌取扱い規約委員会(野田起一郎委員長)が構成され、1987年4月に『子宮頸癌取扱い規約』が上梓されるに至った。その後、FIGOの臨床進行期分類改訂、第2版となるWHOの組織分類がともに1994年に公表されたことを受けて、1997年10月に『子宮頸癌取扱い規約 第2版』が、さらに、2003年のWHOの組織分類ならびに2008年のFIGOの臨床進行期分類のそれぞれの改訂によって、2012年4月に『子宮頸癌取扱い規約 第3版』が刊行された。しかし、FIGOとWHOのそれぞれの改訂は必ずしも呼応するものではなく両者に時間的な差異がみられる中で、2014年に新たなWHO分類が提示された。これらの改定に時機を得て本邦の新たな取扱い規約を策定することに務め、最新のWHO分類を本邦の実情にあわせた「病理編」としてこの度発刊するものである。

 本書では、最初に病理診断報告書の実際の記載法を提示しているが、子宮頸部の切除検体と摘出検体の2つの様式に分けた報告書にした。さらに、組織学的予後因子、腫瘍径の評価、治療効果判定やリンパ節転移の扱いについては特に解説を加え、切除・摘出検体の取扱いや術中迅速組織診断にもその点を敷衍した。参考として収載した臨床進行期分類については、2012年4月に出版された『子宮頸癌取扱い規約 第3版』の内容に準じているが、その後実際の臨床上の運用で問題となったため、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会で議論を重ね、理事会の承認を得て改められた幾つかの点を加筆・修正をしているので留意されたい。中核をなす組織学的分類では、今回の主な変更点と留意事項を明示・総括し、組織学的異型度(Grade)にも言及し、また扁平上皮癌の前駆病変の分類や微小浸潤扁平上皮癌の評価については考え方の変遷を踏まえ図表を駆使して理解を促した。病理編の要となる図譜の精選には全力を傾注し、国際疾病分類(ICD-O)にも配慮した。また、今日では正確な組織診断には欠かせない免疫組織化学を最後にひとつの表にまとめた。加えて、使用される語句や用語の統一を図り、日本産科婦人科学会編『産科婦人科用語集・用語解説集』をはじめ各専門領域の用語を採用した。

 今回の改訂の礎となった最新の『WHO Classification of Tumours of Female Reproductive Organs(編集:R.J. Kurman, M.L. Carcangiu, C.S. Herrington, R.H. Young)』では、小西郁生、清川貴子、津田 均、福永眞治、三上芳喜、片渕秀隆の各教授がその編集に参画し、日本にあって詳細な情報が得られたことは幸運であった。実際の改訂作業では、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の中に子宮頸癌取扱い規約改訂小委員会(杉山 徹委員長)が設置され、2015年10月に着手、6回の会議を経て、最終的に日本産科婦人科学会の理事会の承認を得た。本規約が、子宮頸癌とそれに関連する腫瘍・疾患の診断と治療にあたる医家にとって共通の規準となり、その結果正確な登録の集積によってさらなる最良の治療指針が導かれることを祈念してやまない。

 過去半世紀にわたり子宮頸癌の用語の統一と分類の標準化のために尽くされた先輩諸氏に本書を捧げる。

 2017年7月

日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 委員長 片渕 秀隆
子宮頸癌取扱い規約改訂小委員会 委員長 杉山 徹
日本病理学会子宮頸癌取扱い規約改訂病理系委員会 委員長 三上 芳喜