子宮体癌取扱い規約 病理編 第4版

WHO 2014分類に基づき「病理学的取扱い」を改訂!

編 集 日本産科婦人科学会 / 日本病理学会
定 価 4,320円
(4,000円+税)
発行日 2017/07/10
ISBN 978-4-307-30131-2

B5判・96頁・図数:6枚・カラー図数:98枚

在庫状況 あり

WHO組織学的分類(2014年)に基づき「病理学的取扱い」の内容を一新。組織学的予後因子やホルモン治療の効果判定、リンパ節転移の扱いについての解説が加えられ、前版からの主な変更点・留意事項も明示された。
 また、新たに病理診断報告書の記載様式例や免疫組織化学の一覧表なども加わった。今回新しい概念として導入された類内膜上皮内腫瘍Endometrioid intraepithelial neoplasia (EIN) についてはその診断基準が表された。


※本書は『子宮体癌取扱い規約 第3版』(2012年)の「第3部:病理学的取扱い」「第4部:子宮体癌の組織図譜」を独立させ、WHO組織学的分類の改訂(2014年)に伴い「病理編」として改訂したものです。「進行期分類」「リンパ節の部位と名称」については、第3版発刊後に運用上問題となったいくつかの点を加筆・修正しています。

※「臨床編」につきましては、改訂時期が未定となっております。
引き続き、第3版をご活用いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
1.病理診断報告書の記載法
 a.組織学的予後因子
 b.肉眼分類
 c.ホルモン療法の効果判定
 d.リンパ節転移の扱い

2.切除・摘出検体の取扱い
 a.生検材料
 b.子宮摘出材料

3.術中迅速組織診断

4.進行期分類
 a.子宮内膜癌
  1)手術進行期分類(日産婦2011、FIGO 2008)
  2)TNM分類(UICC 第8版に準じる)
  3)FIGO分類、AJCC分類、UICC分類との相互関係
 b.子宮体部肉腫
  1)FIGO 2008進行期分類策定の背景
  2)TNM分類(UICC 第8版に準じる)/手術進行期分類(日産婦2014、FIGO 2008)
  3)FIGO分類、AJCC分類、UICC分類との相互関係
 c.リンパ節の部位と名称

5.組織学的分類
 a.はじめに
 b.組織学的分類の主な変更点と留意事項
 c.組織学的異型度(Grade)
 d.組織学的分類
 e.組織学的分類の説明
  I.上皮性腫瘍および前駆病変 Epithelial tumors and precursors
   A.前駆病変 Precursors
   B.子宮内膜癌 Endometrial carcinomas
   C.類腫瘍病変 Tumor-like lesions
  II.間葉性腫瘍 Mesenchymal tumors
   A.平滑筋腫 Leiomyoma
   B.悪性度不明な平滑筋腫瘍 Smooth muscle tumor of uncertain malignant potential(STUMP)
   C.平滑筋肉腫 Leiomyosarcoma
   D.子宮内膜間質腫瘍と関連病変 Endometrial stromal and related tumors
   E.その他の間葉性腫瘍 Miscellaneous mesenchymal tumors
  III.上皮性・間葉性混合腫瘍 Mixed epithelial and mesenchymal tumors
   A.腺筋腫 Adenomyoma
   B.異型ポリープ状腺筋腫 Atypical polypoid adenomyoma
   C.腺線維腫 Adenofibroma
   D.腺肉腫 Adenosarcoma
   E.癌肉腫 Carcinosarcoma
  IV.その他の腫瘍 Miscellaneous tumors
   A.アデノマトイド腫瘍 Adenomatoid tumor
   B.神経外胚葉性腫瘍 Neuroectodermal tumors
   C.胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
  V.リンパ性および骨髄性腫瘍 Lymphoid and myeloid tumors
  VI.二次性腫瘍 Secondary tumors

6.図譜
 前駆病変 図譜1〜15
 子宮内膜癌 図譜16〜55
 類腫瘍病変 図譜56〜61
 平滑筋腫 図譜62〜74
 平滑筋肉腫 図譜75〜79
 子宮内膜間質腫瘍と関連病変 図譜80〜85
 その他の間葉性腫瘍 図譜86
 異型ポリープ状腺筋腫 図譜87, 88
 腺肉腫 図譜89〜91
 癌肉腫 図譜92〜95
 アデノマトイド腫瘍 図譜96〜98
 悪性新生物(がん)が本邦における死亡原因の第1位となった1981年の翌年、当時の老人保健法に基づく保健事業によって自治体が行うがん検診が導入され、婦人科悪性腫瘍では1982年から子宮頸部がん検診が、そして1987年から子宮体部がん検診が実施されることになった。この事業に同調するように、過去四半世紀の間に子宮体癌は著しい増加傾向を示し、子宮頸癌を凌ぐ罹患数を示すに至っている。その中で、日本産科婦人科学会は、子宮頸癌の全国的な登録と治療成績の集計を目的に、1952年に設置した子宮癌委員会に加盟している全国の施設を対象に、子宮体癌の登録を1983年に開始した。一方、婦人科悪性腫瘍における取扱い規約の嚆矢として1987年4月に発刊された『子宮頸癌取扱い規約』に続いて、同年10月に『子宮体癌取扱い規約』が上梓された。この過程では、FIGO(The International Federation of Gynecology and Obstetrics:世界産婦人科連合)、UICC(Union for International Cancer Control:国際対がん連合)、WHO(World Health Organization:世界保健機関)などの国際的機関によって提案された規則を拠り所とし、子宮体癌の治療に関わる諸学会によって公認された規約にするために、1986年1月に日本病理学会ならびに日本医学放射線学会の協力を得て子宮体癌取扱い規約委員会(野田起一郎委員長)が構成されている。その後、FIGOは1988年に新たな進行期分類として手術進行期分類を発表、また第2版となるWHOの組織分類が1994年に公表されたことを受けて、1996年3月に『子宮体癌取扱い規約 第2版』が出版された。さらに、2003年のWHOの組織分類ならびに2008年のFIGOの進行期分類のそれぞれの改訂によって、2012年4月に『子宮体癌取扱い規約 第3版』が刊行された。しかし、FIGOとWHOのそれぞれの改訂は必ずしも呼応するものではなく両者に時間的な差異がみられる中で、2014年に新たなWHO分類が提示された。これらの改定に時機を得て本邦の新たな取扱い規約を策定することに務め、最新のWHO分類を本邦の実情にあわせた「病理編」としてこの度発刊するものである。

 本書では、最初に病理診断報告書の実際の記載法を提示している。さらに、組織学的予後因子、肉眼分類、ホルモン治療の効果判定やリンパ節転移の扱いについては特に解説を加え、切除・摘出検体の取扱いや術中迅速組織診断にもその点を敷衍した。参考として収載した臨床進行期分類については、2012年4月に出版された『子宮体癌取扱い規約 第3版』の内容に準じているが、その後実際の臨床上の運用で問題となったため、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会で議論を重ね、理事会の承認を得て改められた幾つかの点を加筆・修正をしているので留意されたい。中核をなす組織学的分類では、今回の主な変更点と留意事項を明示・総括し、組織学的異型度(Grade)にも言及した。また、新しい概念として導入された類内膜上皮内腫瘍 Endometrioid intraepithelial neoplasia(EIN)についてはその診断基準を表示した。病理編の要となる図譜の精選には全力を傾注し、国際疾病分類(ICD-O)にも配慮した。また、今日では正確な組織診断には欠かせない免疫組織化学を最後にひとつの表にまとめた。加えて、使用される語句や用語の統一を図り、日本産科婦人科学会編『産科婦人科用語集・用語解説集』をはじめ各専門領域の用語を採用した。

 今回の改訂の礎となった最新の『WHO Classification of Tumours of Female Reproductive Organs(編集:R.J. Kurman, M.L. Carcangiu, C.S. Herrington, R.H.Young)』では、小西郁生、清川貴子、津田均、福永眞治、三上芳喜、片渕秀隆の各教授がその編集に参画し、日本にあって詳細な情報が得られたことは幸運であった。実際の改訂作業では、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の中に子宮体癌取扱い規約改訂小委員会(杉山徹委員長)が設置され、2015年10月に着手、6回の会議を経て、最終的に日本産科婦人科学会の理事会の承認を得た。本規約が、子宮体癌とそれに関連する腫瘍・疾患の診断と治療にあたる医家にとって共通の規準となり、その結果正確な登録の集積によってさらなる最良の治療指針が導かれることを祈念してやまない。

 過去半世紀にわたり子宮体癌の用語の統一と分類の標準化のために尽くされた先輩諸氏に本書を捧げる。

 2017年7月

日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 委員長 片渕 秀隆
子宮体癌取扱い規約改訂小委員会 委員長 杉山 徹
日本病理学会子宮体癌取扱い規約改訂病理系委員会 委員長 安田 政実