「診断名はなんでしょう?」 骨軟部腫瘍と腫瘍様病変の画像診断Q&A

典型例から非典型例まで豊富な症例を提示し、診断のポイントをコンパクトに解説

著 者 鳥越 知明
定 価 6,050円
(5,500円+税)
発行日 2016/05/20
ISBN 978-4-307-25160-0

B5判・224頁・カラー図数:380枚

在庫状況 あり

第1章では骨透亮像、骨硬化像、軟部の骨・カルシウム性の病変、軟部病変の画像パターンから診断名を考えさせ、第2章では骨腫瘍、第3章では軟部腫瘍、第4章では腫瘍様病変の画像所見から診断名を考えさせる形式。各章、患者の主訴・理学所見も含めて総合的に診断できるように構成。治療や経過についてもコンパクトに解説し、1つの診断名に対して複数のバリエーションを提示することでさらに理解が深まる。若手整形外科医必携の入門書。
第1章 よくあるパターンの考え方
1 骨透亮像
Introduction:X 線像で骨が溶けていたらどう考えるか
1-1 辺縁硬化を伴うパターン1
1-2 辺縁硬化を伴うパターン2
1-3 辺縁硬化の乏しいパターン1
1-4 辺縁硬化の乏しいパターン2
1-5 辺縁硬化の乏しいパターン3
1-6 辺縁硬化の乏しいパターン4
2 骨硬化像
Introduction:X 線像で骨が硬化していたらどう考えるか
2-1 ごく一部が硬化するパターン
2-2 広範囲が硬化するパターン
2-3 多発性に硬化するパターン
3 軟部の骨・カルシウム性の病変
Introduction:X 線像で軟部に骨・カルシウム性の病変があったらどう考えるか
3-1 辺縁整の小結節のパターン
3-2 zoning phenomenon のパターン1
3-3 zoning phenomenon のパターン2
3-4 reverse zoning phenomenon のパターン
4 軟部病変
Introduction:X 線像で写らない軟部病変のMRI 所見をどう考えるか
4-1 腫瘤として辺縁がはっきりしないパターン
4-2 腫瘤として辺縁がはっきりしているが内部が造影されないパターン
付 問診・理学所見で考えてみよう1
付 問診・理学所見で考えてみよう2

第2章 骨腫瘍
Introduction
症例1 10代半ば男児:右膝痛
症例2 60代女性:右大腿痛
症例3 20代男性:左殿部痛
症例4 40代女性:腰痛
症例5 40代女性:右肩痛
症例6 10代後半女性:左膝関節痛
症例7 30代男性:左股関節痛
症例8 20代女性:左膝部腫瘤
症例9 小学校低学年男児:右下肢変形
症例10 10代前半女児:右膝部腫瘤
症例11 20代男性:右足関節疼痛、腫脹
症例12 小学校高学年男児:右膝痛
症例13 70代男性:右大腿部痛

第3章 軟部腫瘍
Introduction
症例1 60代女性:背部腫瘤
症例2 40代女性:殿部腫瘤
症例3 50代女性:肩甲部腫瘤
症例4 10代後半男性:左大腿痛、腫大
症例5 40代女性:左上腕腫瘤
症例6 50代男性:左膝部腫瘤
症例7 40代女性:左足部痛
症例8 30代男性:膝痛
症例9 60代女性:左殿部腫瘤
症例10 10代半ば女児:胸部X 線像異常陰影、右大腿腫瘤
症例11 70代男性:左大腿腫瘤

第4章 腫瘍様病変
Introduction
症例1 10代前半男児:症状なし
症例2 小学校低学年女児:右大腿痛
症例3 10代半ば男児:足趾腫瘤
症例4 40代女性:足部痛
症例5 60代男性:無症状
症例6 70代女性:左大腿痛
症例7 70代女性:左上腕変形
症例8 40代男性:左上腕痛
症例9 40代女性:両肩、両大腿痛
症例10 50代男性:無症状
症例11 40代女性:大腿腫瘤
症例12 70代女性:大腿無痛性腫瘤
文献
索引

COLUMN
・骨軟部腫瘍の道に入ったきっかけ
・私を学会に連れてって
・関東整形災害外科学会集談会
・関東骨軟部腫瘍研究会
・誤診しないために
・医者の中の医者
・メアリーおばさんを知っているか?
・On the shoulders of giants
「骨軟部腫瘍」と聞くと多くの方は馴染みがない、よくわからない、なんだか怖いなど、あまり良くない印象をもつのではないでしょうか。それは骨軟部疾患の専門家である整形外科医でも同様かと思います。
 私は20年間骨軟部腫瘍を専門領域として多くの患者さんの診療にあたってきましたが、大学病院の骨軟部腫瘍専門外来に紹介されてくる患者さんのうち本当に腫瘍の患者さんは約6割で、なんと残り4割は腫瘍ではない他の疾患、いわゆる腫瘍様病変・腫瘍類似疾患でした。これは都市部の大学病院の結果ですので、がんセンターなど名称によっておのずと悪性疾患の割合が高くなってしまう施設ではまた異なる数字になると思いますが、逆に一般的な医療施設を受診する患者さんの実態に近いのではないかと思います。
 なぜ大学病院の骨軟部腫瘍外来に腫瘍ではない患者さんが紹介されるかといいますと、なんだかよく分からない「変」な画像をみると、これは腫瘍ではないかとお考えになる先生が多くいるためのようです。お陰さまでずいぶん色々な疾患を経験し、上手く診断がついて適切な治療ができ患者さんに喜ばれることもあれば、なかなか診断がつかずに患者さんにつらい思いをさせて、自身もつらかったこともあります。
 今回は整形外科領域でなんだかよくわからない「変」な画像をみたらどう考えるか、そのポイントを1冊の書籍にまとめました。Q&A形式になっておりますので、読者の皆様もぜひ診断を考えてみてください。典型的な症例もあれば非典型例もあります。ごくごく「私的」な診断本ですが、皆様が日常の臨床で「変」な画像に遭遇したときに、この書籍が診断の一助となれば誠に幸いです。

2016年4月
鳥越 知明