頭頸部癌診療ガイドライン 2018年版 第3版

新TNM分類やp16陽性中咽頭癌、新規治療法に完全対応の大改訂!

編 集 日本頭頸部癌学会
定 価 3,456円
(3,200円+税)
発行日 2017/12/20
ISBN 978-4-307-20379-1

B5判・192頁・図数:11枚

在庫状況 あり

頭頸部癌診療の指針となる診療ガイドラインの改訂第3版。大改訂で実臨床をよりサポートする1冊に。頭頸部癌の多様な治療法について解説する「治療総論」を新設。各癌種の治療各論では、新しい疾患概念「HPV関連(p16陽性)中咽頭癌」や、TNM分類第8版にも対応したアルゴリズムを掲載。前版では34だったCQが、今版は56へと大幅に増加。従来の治療法の進歩や、免疫チェックポイント阻害薬などの新しい治療法にも対応。
I.ガイドラインについて
1 目的と対象
2 学会の責任
3 基本方針・構成
4 作成・改訂
5 公開・利用法
6 資金と利益相反

II.診断
1 進行度・病期の診断
2 重複癌の検索

III.治療
A.治療総論
III-A-1.外科療法
1 術前評価
2 手術のための診断と切除の原則
3 周術期および術後管理
4 異時性重複癌に対する配慮
III-A-2.がん薬物療法
1 根治を目指した集学的治療
2 再発・転移に対する化学療法
III-A-3.放射線治療
1 線量分割スケジュールの調整
2 高精度放射線治療と機能温存
3 集学的治療の中の放射線治療
III-A-4.支持療法
1 支持療法の種類
2 頭頸部癌領域における支持療法での必須事項:多職種医療連携と共通言語
3 支持療法各論
III-A-5.頭頸部癌患者に対するがんリハビリテーション
1 がんリハビリテーションの概要
2 口腔癌・中咽頭癌の周術期
3 喉頭癌・下咽頭癌の周術期(喉頭全摘出術、下咽頭喉頭頸部食道摘出術)
4 頭頸部癌に対する化学放射線療法中・後
5 頸部郭清術後
III-A-6.緩和ケア
1 緩和ケアとは?
2 がんに対する緩和ケアの現状

B.治療各論
III-B-1.口腔癌(舌癌)
1 病期診断
2 アルゴリズム
3 治療法と適応
III-B-2.上顎洞癌
1 病期診断
2 アルゴリズム
3 治療法と適応
III-B-3.上咽頭癌
1 病期診断
2 アルゴリズム
3 治療法と適応
III-B-4.中咽頭癌
1 病期診断
2 アルゴリズム
3 治療法と適応
III-B-5.下咽頭癌
1 病期診断
2 アルゴリズム
3 治療法と適応
III-B-6.喉頭癌
1 病期診断
2 アルゴリズム
3 治療法と適応
III-B-7.甲状腺癌
1 病期診断
2 悪性度診断
3 アルゴリズム
4 治療法と適応
III-B-8.唾液腺癌(耳下腺癌)
1 病期診断
2 悪性度診断
3 アルゴリズム
4 治療法と適応
III-B-9.原発不明頸部転移癌
1 病期診断
2 原発巣の検索
3 治療法と適応

IV.クリニカルクエスチョン
IV-1.診断
CQ 1-1 頭頸部癌のN病期診断においてCTは有用か?
CQ 1-2 頭頸部癌のT病期診断においてMRIは有用か?
CQ 1-3 甲状腺癌の病期診断において超音波検査は有用か?
CQ 1-4 頭頸部癌において穿刺吸引細胞診は有用か?
CQ 1-5 頭頸部癌治療前における重複癌の検索は必要か?
CQ 1-6 頭頸部癌の病期診断においてFDG-PET は有用か?
CQ 1-7 頭頸部癌治療後の経過観察に画像検査は有用か?
CQ 1-8 頭頸部癌治療後の経過観察に血液検査は有用か?
IV-2.口腔癌
CQ 2-1 舌癌の深達度をどのようにして測定するべきか?
CQ 2-2 舌癌に対する密封小線源治療の適応は?
CQ 2-3 早期舌癌においてセンチネルリンパ節生検は有用か?
CQ 2-4 舌扁平上皮癌病期I・II症例に対して予防的頸部郭清術を行うことは、経過観察を行い再発時に頸部郭清術を行う場合に比べて、生存率の向上に寄与するか?
CQ 2-5 舌・口腔癌において、肩甲舌骨筋上頸部郭清術はN1症例(レベルI)への適応は許容されるか?
CQ 2-6 局所進行舌癌に対して術前化学療法は有用か?
CQ 2-7 舌半側切除に対する適切な再建方法は?
CQ 2-8  舌亜全摘出以上の症例において、隆起型の舌の再建は術後機能の保持に有用か?
IV-3.上顎洞癌
CQ 3-1  上顎洞扁平上皮癌眼窩壁浸潤症例において、眼球を温存することは生存率を低下させるか?
CQ 3-2 頭頸部癌に対する超選択的動注化学療法は臓器機能温存に寄与するか?
IV-4.上咽頭癌
CQ 4-1 局所進行上咽頭癌において、放射線治療に化学療法を同時併用することは生存率の向上に寄与するか?
CQ 4-2 上咽頭癌において導入化学療法は有効か?
CQ 4-3 早期上咽頭癌(病期II)に化学放射線療法は有用か?
CQ 4-4 上咽頭癌の化学放射線療法後に追加化学療法を行うことは推奨されるか?
IV-5.中咽頭癌
CQ 5-1-1 中咽頭癌においてヒトパピローマウイルス(HPV)感染の検査(p16免疫染色)は必要か?
CQ 5-1-2 中咽頭癌においてHPV感染の有無は予後予測因子となるか?
CQ 5-1-3 中咽頭癌においてHPV感染の有無で治療強度を変更することは推奨されるか?
IV-6.下咽頭癌
CQ 6-1 早期下咽頭癌において喉頭を温存する治療方針は推奨されるか?
CQ 6-2 下咽頭喉頭全摘出術後の再建方法として遊離空腸移植は有用か?
IV-7.喉頭癌
CQ 7-1 早期喉頭癌に対して喉頭を温存する治療方針は推奨されるか?
CQ 7-2 早期喉頭癌の放射線治療後再発に対して喉頭温存手術は適応となるか?
CQ 7-3 早期喉頭癌(声門癌)に対して加速照射法(寡分割照射)は有用か?
IV-8.甲状腺癌
CQ 8-1 甲状腺微小癌(1cm以下)に対する治療方針として、経過観察は許容されるか?
CQ 8-2 甲状腺乳頭癌における気管周囲郭清術は推奨されるか?
CQ 8-3 甲状腺乳頭癌に対して甲状腺全摘術を行うことは、甲状腺葉切除術に比べて生存率の向上に寄与するか?
CQ 8-4 甲状腺分化癌において術後アブレーションは生存率の向上に寄与するか?
CQ 8-5 甲状腺癌に対する分子標的薬は有用か?
IV-9.唾液腺癌(耳下腺癌)
CQ 9-1 耳下腺癌手術症例における推奨される顔面神経再建の方法は?
CQ 9-2 耳下腺癌で顔面神経麻痺がない場合、顔面神経の温存は推奨されるか?
CQ 9-3 唾液腺癌に対して予防的頸部郭清は有効か?
CQ 9-4 再発・転移唾液腺癌に対して薬物療法は有効か?
IV-10.原発不明頸部転移癌
CQ10-1 原発不明頸部転移癌に対して口蓋扁桃摘出術は原発巣検索に有用か?
CQ10-2 原発部位の検索にp16免疫染色とEBER-ISHは有用か?
CQ10-3 原発不明頸部転移癌に対して頸部郭清術を行うことは推奨されるか?
CQ10-4 原発不明頸部転移癌に対して頸部郭清術後に放射線治療を行うことは、生存率の向上に寄与するか?
IV-11.がん薬物療法
CQ11-1 根治切除不能な局所進行頭頸部扁平上皮癌に対して放射線治療を行う場合に、化学療法を同時併用することは生存率の向上に寄与するか?
CQ11-2 切除可能局所進行頭頸部扁平上皮癌に対して放射線治療を行う場合に、化学療法を併用することは喉頭温存率の向上に寄与するか?
CQ11-3 切除不能局所進行頭頸部扁平上皮癌に対する導入化学療法において、TPF療法(TXT+CDDP+5-FU)は生存率を向上させるか?
CQ11-4 喉頭全摘が適応となる切除可能喉頭癌・下咽頭癌に対する導入化学療法は、喉頭温存療法として有用か?
CQ11-5 進行頭頸部癌に対する放射線治療においてセツキシマブ(Cmab)の併用は有用か?
CQ11-6 再発・転移頭頸部癌に対する初回化学療法においてセツキシマブの併用は有用か?
CQ11-7 再発・転移頭頸部悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害薬は有用か?
CQ11-8 切除不能再発・転移頭頸部癌に対して抗PD-1抗体は有用か?
IV-12.放射線治療
CQ12-1 頭頸部扁平上皮癌術後再発高リスク患者に対する術後化学放射線療法は有用か?
CQ12-2 進行頭頸部癌に対して、強度変調放射線治療を適応することにより晩期有害事象が減少するか?
CQ12-3 化学放射線療法後の救済手術の適応は?
CQ12-4 頭頸部癌(上咽頭癌を含む)へのCRT後の局所再発に対する再照射は妥当か?
CQ12-5 小児の頭頸部腫瘍(上咽頭癌を除く)に対して陽子線治療は有用か?
CQ12-6 頭頸部非扁平上皮癌に対して粒子線治療は有用か?
CQ12-7 頭頸部(頭蓋底を含む)の肉腫に対して重粒子線治療は有用か?

V.資料
1 会話機能評価基準
2 嚥下機能評価基準(MTFスコア)
3 頸部郭清術後機能質問表
4 下咽頭癌・声門上癌に対する頸部郭清指針
5 参考URL

索引
 『頭頸部癌診療ガイドライン』初版は2009年に出版され、『TNM悪性腫瘍の分類』と『頭頸部癌取扱い規約』の改訂を受けて、2013年に第1回の改訂版『頭頸部癌診療ガイドライン2013』が発刊された。以来、僅か4年の間に、鼻副鼻腔癌に対する内視鏡手術や喉頭下咽頭癌に対する経口切除は標準治療の一つとなり、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、従来の抗がん剤と全く作用機序の異なる薬物療法が登場した。更に、2017年に発刊された『TNM悪性腫瘍の分類 第8版』では、HPV関連中咽頭癌が古典的な中咽頭癌から独立し、p16陰性・EBER陰性の場合のみ原発不明癌と定義されるなど、近年の知見を反映し大幅に改訂されている。
 本改訂では、こうした目覚しい進歩と変化を踏まえ、現状で最も妥当と考えられる診断・治療法を取り上げ、エビデンスレベルを示すとともに推奨グレードを提示している。治療の概要を示した「III.治療」では、多職種によるチーム医療の重要性がますます大きくなってきた状況を踏まえ、「治療総論」の項を新設し、外科療法、化学療法、放射線治療とともに支持療法、頭頸部癌患者に対するがんリハビリテーション、緩和ケアについての解説を加えた。最新の診断法や治療法については「IV.クリニカルクエスチョン」の項目を大幅に増やして対応している。
 頭頸部はヒトが人として生きるために欠かすことができない多くの機能を司っており、癌の治療においては根治とQuality of Lifeの維持の両立が重要な命題である。本ガイドラインは記載した内容と異なる診断法や治療法を施行することを規制するものではないが、ますます多様となってきた治療法の中から、個々の症例に最適の治療を選択するための道しるべとなれば幸甚である。
 最後に、本ガイドライン改訂にあたり多大なご協力をいただいた頭頸部癌診療ガイドライン委員会の先生方、評価委員の皆様に心より御礼を申し上げます。

2017年12月
日本頭頸部癌学会診療ガイドライン委員会委員長
丹生 健一