乳がん患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療の手引き 2017年版 第2版

本邦初の乳癌患者の妊孕性に関する診療指針が遂に改訂!

編 集 日本がん・生殖医療学会
定 価 3,456円
(3,200円+税)
発行日 2017/07/15
ISBN 978-4-307-20370-8

B5判・212頁・カラー図数:2枚

在庫状況 あり

子どもを得たいと希望する乳癌患者の治療選択を、ライフステージに合わせて適切に支援することを目的とした手引き書。新たなクリニカルクエスチョンとエビデンスを加えアップデートされた。
また患者の経済的負担、心理支援の項を新設しより患者目線の診療が行えるよう工夫している。
乳癌治療医・生殖医療医間、そして医療者・患者間のコミュニケーションを円滑にする一冊である。
■「診療の手引き2017年版」について

■乳癌患者の生殖医療における倫理的考察
 1.乳癌治療と生殖に関する倫理的分析方法
 2.がん・生殖医療における医療者の役割(がん治療の立場から/生殖医療の立場から)
 3.がん治療と妊娠・出産に関する説明義務について

■乳癌患者の妊孕性温存に関する経済的負担

1.患者への情報提供、医療者のコミュニケーションについて
 CQ 1 乳癌患者の薬物療法を開始する前に患者の将来の挙児希望の有無について理解しておくことは勧められるか?
 CQ 2 乳癌患者に将来の挙児希望がある場合、がん治療医と生殖医療医とのコミュニケーションは勧められるか?
 CQ 3 乳癌患者の生殖医療を行う施設としてどのような施設が勧められるか?

2.乳癌と診断された患者の将来の妊娠について
 CQ 4 乳癌患者が希望する場合、自然妊娠は勧められるか?
 CQ 5 どのような乳癌患者に治療後の妊娠を勧められるか?
  CQ 5-1 どのような乳癌患者に治療後の妊娠を勧められるか?(腫瘍側因子)
  CQ 5-2 どのような乳癌患者に治療後の妊娠を勧められるか?(生殖側因子)
 CQ 6 乳癌患者が希望する場合、生殖補助医療は勧められるか?
 CQ 7 BRCA変異陽性乳癌患者に、治療後の妊娠を勧められるか?

3.挙児希望を有する乳癌患者に対するがん治療について
 総論:挙児希望を有する乳癌患者に対するがん治療について
 CQ 8 挙児希望を有する乳癌患者に化学療法は勧められるか?
 CQ 9 妊娠を希望する患者に挙児希望を考慮した化学療法のレジメン選択は勧められるか?
 CQ 10 化学療法開始遅延は勧められるか?
 CQ 11 化学療法による卵巣機能低下を予防するためにGnRHアゴニストの使用は勧められるか?
 CQ 12 ホルモンレセプター陽性のすべての乳癌患者にホルモン療法は勧められるか?
 CQ 13 乳癌に対する術後ホルモン療法中の患者が妊娠を希望した場合、5年より短い治療期間でホルモン療法を中止することは勧められるか?
 CQ 14 HER2陽性のすべての乳癌患者にトラスツズマブの投与は勧められるか?
 CQ 15 化学療法終了直後の患者に妊娠は勧められるか?
 CQ 16 ホルモン療法終了直後の患者に妊娠は勧められるか?
 CQ 17 トラスツズマブ終了直後の患者に妊娠は勧められるか?
 CQ 18 挙児希望を有する患者に術後放射線治療は勧められるか?

4.挙児希望を有する乳癌患者に対する生殖医療について
 総論:挙児希望を有する乳癌患者に対する生殖医療について
 CQ 19 卵巣機能の治療前評価・治療後予測にどのような検査が必要か?
 CQ 20 挙児希望を有する乳癌患者に胚(受精卵)の凍結保存は勧められるか?
 CQ 21 挙児希望を有する乳癌患者に未受精卵子の凍結保存は勧められるか?
 CQ 22 挙児希望を有する乳癌患者に卵巣組織凍結は勧められるか?
 CQ 23 乳癌患者にどのような卵子獲得法が勧められるか?
  CQ 23-1 乳癌患者に調節卵巣刺激は勧められるか?
  CQ 23-2 乳癌患者の卵子獲得のため、GnRHアンタゴニスト法による卵巣刺激は勧められるか?
  CQ 23-3 乳癌患者の卵子獲得のため、GnRHアゴニスト法による卵巣刺激は勧められるか?
  CQ 23-4 乳癌患者の卵子獲得のため、アロマターゼ阻害薬(レトロゾール)の使用は勧められるか?
  CQ 23-5 月経周期にかかわらず排卵誘発(ランダムスタート法)は勧められるか?
  CQ 23-6 乳癌患者に簡易卵巣刺激による卵子獲得は勧められるか?
  CQ 23-7 乳癌患者に自然周期排卵による卵子採取は勧められるか?
  CQ 24 乳癌患者において経腟的な卵子獲得は安全か?

5.妊娠前・妊娠中・出産後の管理について
 CQ 25 乳癌患者が術後に妊娠を希望した場合、再発の有無を確認することは勧められるか?
 CQ 26 乳癌患者の妊娠中に乳癌フォローアップ検査は勧められるか?
 CQ 27 乳癌患者で妊娠中に再発が判明した場合、妊娠を継続したまま乳癌の治療は可能か?
 CQ 28 妊娠・出産のために術後薬物療法を非実施もしくは中止した乳癌患者に対し、出産後の乳癌薬物療法の実施・再開は勧められるか?
 CQ 29 乳癌術後の授乳は安全か?

6.妊娠期乳癌患者に対するがん治療について
 総論:妊娠期乳癌患者に対するがん治療について
 CQ 30 妊娠期乳癌患者の画像検査は安全か?
 CQ 31 妊娠期乳癌の薬物療法は安全か?
  CQ 31-1 ホルモン療法は勧められるか?
  CQ 31-2 化学療法は勧められるか?
  CQ 31-3 抗HER2療法は勧められるか?
  CQ 31-4 化学療法の支持療法は勧められるか?
  CQ 31-5 ビスフォスフォネート製剤は勧められるか?
 CQ 32 妊娠期乳癌の手術療法は安全か?
  CQ 32-1 乳房切除術・乳房部分切除術は勧められるか?
  CQ 32-2 センチネルリンパ節生検は勧められるか?
 CQ 33 妊娠期乳癌の放射線治療は勧められるか?

■心理支援について
 1. サイコオンコロジー(精神腫瘍学)の立場から
 2. がん看護の立場から
 3. 生殖医療の立場から
 4. 生殖心理の立場から

■用語集(生殖医療用語/乳腺関連用語/付表)

■付録.患者用冊子「乳がん治療にあたり将来の出産をご希望の患者さんへ」
 「乳がん患者の妊娠・出産および生殖医療に関する診療の手引き」(以下、「本診療の手引き」)2017年改訂版を、予定通り刊行できる運びとなりました。今回の改訂は、日本がん・生殖医療学会の事業として、本診療の手引き2014年版の売り上げによる収入を財源に、実施いたしました。大変お忙しいなか、執筆やレビューにご協力いただきました作成協力者の方々はもちろんのこと、改訂版発行の実現に貢献して下さった2014年版の読者の皆様に、編集委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 さて、本診療の手引き2014年版の発行以来、がん患者の妊孕性の問題を取り巻く国内の環境は大きく変化しています。2015年、がん対策協議会および厚生労働省は、今後の国のがん対策の方向性についての提言のなかで、ライフステージに応じたがん対策を「重点的に取り組むべき項目」として掲げ、そのなかで思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する正確な情報提供の必要性に踏み込んで触れました。この提言を受けて2018年度より第3期がん対策基本計画がスタートしますが、おそらくそのなかで、妊孕性温存治療を含めたがん患者のサバイバーシップ支援の取り組みが一層進むものと期待します。
 しかし、がん患者の妊孕性に関する支援は、システムの整備、医療従事者からの一方向の支援だけでは成立し得ません。患者ごとのニーズに応じた、患者 -医療従事者の双方向のコミュニケーションが必須です。本診療の手引きは、目の前の患者に何をすればよいかという疑問に対して必ずしもひとつの正解を与えるものではありませんが、患者とともに、患者にとって最適なケアを模索するうえでの、コミュニケーションの出発点として活用していただきたいと考えています。
 幸い、本診療の手引き2014年版は乳癌治療医と生殖医療医だけでなく、患者その他の関係者に広く認知され、活用されているようです。新しいクリニカルクエスチョン、新しいエビデンスを加えただけでなく、総論面においてもいっそうブラッシュアップした2017年版を、より多くの関係者の方々に手にとっていただき、乳がん患者の妊娠・出産や生殖医療に関するケアの質の向上と研究の推進に役立てていただければ幸いです。

2017年6月
特定非営利活動法人 日本がん・生殖医療学会
「乳がん患者の妊娠・出産および生殖医療に関する診療の手引き」
改訂委員会委員長 清水 千佳子
理事長 鈴木 直