大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス 第3版

これからの大腸がん診療、遺伝子検査の実施に必須!

編 集 日本臨床腫瘍学会
定 価 2,160円
(2,000円+税)
発行日 2016/11/22
ISBN 978-4-307-20363-0

B5判・72頁・図数:5枚・カラー図数:1枚

在庫状況 あり

近年、大腸がん診療において遺伝子関連検査の重要性が高まっている。本ガイダンスは予後予測や治療選択に重要なRAS遺伝子変異・BRAF V600E遺伝子変異・MMR機能欠損検査の適切な実施、治療への反映について解説。さらに次世代シークエンス法による包括的遺伝子検査や血液サンプルを用いた体細胞遺伝子検査(リキッドバイオプシー)など開発が進む新規技術についてもその現状と今後の展望を紹介する。
要約

1 はじめに
1.1 大腸がんの発生に関わる遺伝子異常
1.2 大腸がんの発生に関わる遺伝子異常の臨床的意義
1.3 大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス第3版の必要性と目的

2 遺伝子関連検査
2.1 RAS遺伝子変異検査
2.2 BRAF遺伝子変異検査
2.3 ミスマッチ修復機能欠損に対する検査

3 検体に用いる試料

4 検査の質保証

5 現在開発中の検査技術と展望
5.1 次世代シークエンス法による包括的遺伝子検査
5.2 大腸がん患者の血液サンプルを用いた遺伝子検査

6 備考
6.1 日本臨床腫瘍学会におけるガイドライン、ガイダンスなどの定義
6.2 2016年7月現在のRAS遺伝子変異検査、BRAF V600E遺伝子変異検査、ミスマッチ修復機能欠損に対する検査の保険償還状況
6.3 Voting の参加について

索引
・発刊にあたり

 日本臨床腫瘍学会では、2008年に、「大腸がん患者におけるKRAS遺伝子変異の測定に関するガイダンス第1版」、2014年に「大腸がん患者におけるRAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)変異の測定に関するガイダンス第2版」を発刊してきました。しかし、その後の急速な研究の進歩により、大腸がんにおいてもRAS遺伝子のみならずBRAF V600E遺伝子変異やDNAミスマッチ修復(Mismatch repair;MMR)機能欠損が臨床上重要な情報であると考えられるようになりました。そして今回、第2版の発刊から2年の経過で、「大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス第3版」を発刊するに至りました。
 BRAF V600E遺伝子変異は治療選択および予後に関する重要な情報をもたらしますが、将来的にはBRAF V600E遺伝子変異を直接の標的とした治療の開発につながることも期待されます。DNAミスマッチ修復機能欠損はリンチ症候群が疑われる患者さんに重要な情報をもたらすのみならず、大腸がん患者さんの術後補助化学療法の選択に影響することも示唆されています。
 近年、免疫チェックポイント阻害薬の開発が急速に進み、多くのがん種で効果を発揮することが報告されています。日本でもすでに複数のがん種で保険承認され、大腸がんに対しても近い将来、免疫チェックポイント阻害薬が保険承認されると期待されます。大腸がんに対してはDNAミスマッチ修復機能欠損が免疫チェックポイント阻害薬の重要なバイオマーカーと考えられています。近い将来、DNAミスマッチ修復機能欠損はさらに重要な検査になると考えられます。
 迅速に本ガイダンスの改訂作業を実施していただいた山?健太郎先生をはじめとするガイドライン委員会の諸氏に心から敬意を表するとともに、本ガイダンスが明日からの日常診療で適切に活用され大腸がん患者さんの治療成績向上につながることを祈念しています。

2016年10月24日
公益社団法人日本臨床腫瘍学会
理事長 大江 裕一郎


・発刊によせて

 2015年初頭、米国オバマ大統領が、“Precision Medicine Initiative”の推進を発表して以来、世界の医療は“Precision Medicine”の実践に向けた動きがさらに加速し、いわゆる「ゲノム医療」が現実のものとなってきた。がん領域においても同様であり、近年、薬物療法の進歩と治療成績向上が著しい大腸がん領域においても、日進月歩の各種テクノロジーの発展とともに“Precision Medicine”が急速に普及し始めている。しかしながら、現場の医療者である臨床医、検査担当医、各種検査技師らは、こうした技術の進歩や医療現場の変化を正しく理解し、実地臨床に十分活かしているとは言い難い。このような問題を抱えている現状において、本ガイダンスはまさに時宜を得た珠玉の指針と言えるだろう。本書は、複雑に深化している現在の大腸がん診療において、必要十分な遺伝子関連検査に関する最新かつ適正な情報を盛り込み、その正しい理解と臨床への応用をわかりやすく解説した、世界にも類を見ないガイドラインと自負している。
 「大腸がん診療における遺伝子関連検査のガイダンス第3版」の前身は、日本臨床腫瘍学会で2008年web公開された「大腸がん患者におけるKRAS遺伝子変異の測定に関するガイダンス(作成委員会委員長:畠清彦)」(第1版)であり、その改訂版で2014年にweb 公開された「大腸がん患者におけるRAS遺伝子(KRAS/NRAS 遺伝子)変異の測定に関するガイダンス(作成委員会委員長:土原一哉)」(第2版)である。今回、第3版として初めて金原出版から刊行物として出版されることになり、今までの念願がかなった。第2版発表からわずか2年で大幅な改訂版が刊行されたことからも、この領域の進歩と変化のスピードを物語っている。本書は、山?健太郎作成委員会委員長以下、大腸がん診療に精通した腫瘍内科医、外科医、遺伝性大腸がんの専門家、病理医、TRや臨床検査の専門家など多領域にわたる作成委員の、尋常ならざる高い集中力とface to face の熱いディスカッションの末、極めて短期間で完成にこぎ着けることができた。作成にあたり、陰に日向にサポートいただいた日本臨床腫瘍学会事務局メンバー並びに金原出版の方々に、この場を借りて感謝申し上げたい。
 本書が、大腸がん診療に関わるすべてのメディカルスタッフの方々にとって、とっつきにくい遺伝子関連検査の理解を深め、実地臨床の診療指針や研究の指針としてお役立ていただけることを願って止まない。

2016年11月
公益社団法人日本臨床腫瘍学会
ガイドライン委員長 室 圭