大腸癌治療ガイドライン 医師用 2016年版

選択肢の増えた化学療法を治療に活かすための必須情報を提示!

編 集 大腸癌研究会
定 価 1,728円
(1,600円+税)
発行日 2016/11/22
ISBN 978-4-307-20361-6

B5判・128頁・図数:9枚・カラー図数:5枚

在庫状況 あり

2014年版では、内視鏡治療、腹腔鏡下手術、分子標的治療薬など多岐に渡る治療法における臨床試験や大腸癌研究会プロジェクト研究の成果等を取り入れ、本邦の診療環境に配慮した標準的な治療法を示した。その改訂版となる2016年版では、新たに承認された薬剤の知見を追加し、アルゴリズムを含めた化学療法の解説・分子標的治療薬のCQを大幅改訂。選択肢の増えた化学療法を治療に活かすために必須の情報を提示する。
はじめに
2014年版 序
2010年版 序
2009年版 序
初版 序

「大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版」主な改訂点

総論
1 .目的
2 .使用法
3 .対象
4 .作成法
5 .文献検索法
6 .改訂
7 .公開
8 .一般向けの解説
9 .資金
10.利益相反
11.文献
12.ガイドライン委員会

各論
1 .Stage0〜StageIII大腸癌の治療方針
 1 )内視鏡治療
 2 )手術治療
2 .StageIV 大腸癌の治療方針
3 .再発大腸癌の治療方針
4 .血行性転移の治療方針
 1 )肝転移の治療方針
 2 )肺転移の治療方針
 3 )脳転移の治療方針
 4 )その他の血行性転移の治療方針
5 .化学療法
 1 )補助化学療法
 2 )切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法
6 .放射線療法
 1 )補助放射線療法
 2 )緩和的放射線療法
7 .緩和医療・ケア
8 .大腸癌手術後のサーベイランス
 1 )大腸癌根治度A切除後の再発に関するサーベイランス
 2 )大腸癌根治度B切除後および再発巣切除後のサーベイランス
 3 )異時性多重がんのサーベイランス

Clinical Questions
 CQ 1:内視鏡的摘除されたpT1(SM)大腸癌の追加治療の適応基準は何か?
 CQ 2:最大径2cm以上の病変に対する内視鏡的摘除手技の選択基準は何か?
サイドメモ
 SM 浸潤距離の実測法/脈管侵襲の評価法/簇出の評価法
 CQ 3:大腸ESDによる大腸腫瘍の内視鏡的摘除の注意点は何か?
 CQ 4:大腸癌に対する腹腔鏡下手術は有効か?
 CQ 5:切除不能な遠隔転移を有する症例に原発巣切除は有用か?
 CQ 6:腹膜播種を認めた場合、原発巣と同時に腹膜播種を切除することは有用か?
 CQ 7:肝転移と肺転移の双方を同時に有する症例に対する切除の適応は何か?
 CQ 8:遠隔転移巣切除後の補助化学療法は有効か?
 CQ 9:化学療法が奏効して切除可能となった肝・肺転移に対する切除は有効か?
 CQ 10:直腸癌局所再発に対する手術適応は何か?
 CQ 11:切除可能肝転移に対する術前補助化学療法は有効か?
 CQ 12:肝転移巣に対する熱凝固療法は有効か?
 CQ 13:70 歳以上の高齢者に術後補助化学療法は有用か?
 CQ 14:StageII大腸癌に術後補助化学療法は施行すべきか?
 CQ 15:術後補助化学療法の治療期間は6カ月が適切か?
 CQ 16-1:一次治療として分子標的治療薬の併用療法は推奨されるか?
 CQ 16-2:二次治療として分子標的治療薬の併用療法は推奨されるか?
 CQ 16-3:三次治療以降において、Regorafenib、TAS-102の投与は推奨されるか?
 CQ 17:肝転移に対する肝動注療法は有用か?
サイドメモ
 IRIとUGT1A1遺伝子多型
 CQ 18:直腸癌に対する術前化学放射線療法は有効か?
 CQ 19:切除不能な局所進行・局所再発直腸癌に対する化学放射線療法は有効か?
 CQ 20-1:大腸癌治癒切除後のサーベイランスは有効か?
 CQ 20-2:大腸癌治癒切除後に多重がん(多発大腸癌および他臓器がん)のサーベイランスは有効か?
 この度「大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版」を刊行しました。「大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版」が完成した時点では次回の改訂版は2018年に刊行する予定でした。その後、化学療法の領域で大規模臨床試験の結果や化学療法を行う上で重要な研究結果が発表されました。そのいくつかは大腸癌研究会のホームページに、「大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版に追記すべき臨床試験の結果」として論文を紹介するとともにガイドライン委員会のコメントを掲載しました。しかし、ホームページでの記載だけではこれらの臨床試験の結果が化学療法のアルゴリズムの中でどのような位置付けになるのかが明確ではありません。さらに、それら以外にもガイドラインに記載するに値する臨床試験の結果が公表されています。また、k-RASに加え抗EGFR抗体薬が奏効しないことを示すバイオマーカーが明らかになりました。これらのことから、化学療法の領域に限ってガイドラインを改訂することになりました。
 ガイドライン作成委員会では推奨するレジメンの基準を、(1)第III相試験で有効性・安全性が検証されたレジメン、(2)第III相試験で有効性・安全性が検証されたレジメンであれば、当該治療ライン以降の治療ラインでも推奨する、(3)同系統の薬剤を用いたレジメンにおける有効性・安全性が第III相試験で検証されていれば、第II相試験などで有効性・安全性が確認されていることを条件に推奨する、ただし殺細胞性抗がん薬の併用の場合はそのレジメンの当該治療ラインにおける有効性・安全性が第III相試験で検証されていることが必要、と設定して、推奨レジメン、アルゴリズム、コメント、を作成しました。新薬と既存の薬剤の組み合わせだけでなく既存の薬剤同士の組み合わせを含め様々なレジメンが効果的である可能性が考えられ、治療ラインも一次、二次、三次、四次、五次と増えてゆく中、あらゆるレジメンを第III相試験で検証してゆくことは不可能となってきています。そのため、以前は推奨するレジメンを(1)の基準だけに限定していましたが、この度は(2)、(3)の基準を追加しました。
 「レジメンを羅列するだけではなく推奨順位を提示してほしい」との要望もいただいています。しかし、臨床試験の結果だけから推奨順位をつけることには臨床的にかなり問題があります。臨床試験では限られた条件の患者さんを対象にして行われており、また、多くの臨床試験では無増悪生存期間でレジメンの有効性を評価しています。さらに、有意差が出たとしてもその違いは小さな値です。一方、実地臨床では、無増悪期間としての有効性だけでなく、レジメンの副作用、癌の広がり、患者さんの身体条件、人生観、生活環境、その後に投与される可能性のあるレジメン、など様々な条件を考慮してレジメンを決めることが大切であり、臨床試験の結果からだけで判断はしていません。
 「大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版」が患者さんに投与する適切なレジメンの決定に役立つことを期待しています。

2016年11月1日
大腸癌研究会会長
杉原 健一