患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2016年版 第5版

乳がん患者さんからの68の質問に対する回答と解説 ― 最新版!

編 集 日本乳癌学会
定 価 2,484円
(2,300円+税)
発行日 2016/06/16
ISBN 978-4-307-20354-8

B5判・240頁・図数:1枚・カラー図数:43枚

在庫状況 なし

納得のいく医療を受けるためには、患者さんが標準治療(=最善の治療)や診療方法について正しく理解したうえで、医師と相談し、ご自身に合った治療を選択することが重要です。本書は、乳がん患者さんやそのご家族が、いま知りたいことについて、正しい情報をわかりやすく得られるよう医師と患者さん、看護師、薬剤師が力を合わせ作成した書籍です。最新の情報をもとに、患者さんからの計68の質問(Q)に対する回答(A)と解説を掲載しています。
●診療ガイドラインとは? ─本書の読み方・使い方─
●マインドマップ
●乳がん診療を正しく受けていただくために

■原因と予防について
1 食生活と乳がん発症リスクとの間に関連はありますか。
 1-1 肥満は乳がん発症リスクと関連がありますか。
 1-2 アルコール飲料の摂取は乳がん発症リスクを高めますか。
 1-3 大豆食品やイソフラボンを摂取することは乳がんの発症に関連がありますか。
 1-4 乳がんの予防のために健康食品やサプリメントを摂取することは勧められますか。
 1-5 乳製品の摂取は乳がん発症リスクを高めますか。
2 生活習慣および持病と乳がん発症リスクとの間に関連はありますか。
 2-1 喫煙と乳がん発症リスクの関連について教えてください。
 2-2 乳がんを予防するためには、運動を多くしたほうがよいでしょうか。
 2-3 ストレスは乳がん発症リスクを高めますか。
 2-4 糖尿病と乳がん発症リスクの関連について教えてください。
 2-5 マンモグラフィの乳腺濃度と乳がん発症リスクの関連について教えてください。
3 更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法や、避妊の目的で用いられる経口避妊薬(ピル)は乳がん発症リスクを高めますか。
4 妊娠・出産、授乳および月経歴と乳がんのリスクについて教えてください。
5 乳がんと遺伝の関係を教えてください。
 5-1 乳がんは遺伝しますか。
 5-2 家系内に乳がんの患者さんがいる女性は、乳がん発症リスクが高くなりますか。
 5-3 遺伝性乳がんの遺伝子検査で何がわかるのですか。
 5-4 BRCA1、BRCA2遺伝子に変異がみつかった場合にはどうしたらよいですか。

■乳がん検診と診断の進め方
6 乳がん検診について教えてください。
7 乳房のしこりの診断はどのようにするのですか。がん以外の乳房のしこりにはどのようなものがありますか。
8 穿刺吸引細胞診や針生検はどのようなときに必要な検査ですか。

■乳がんと診断されたら
9 乳がんといわれました。これから治療を受けるのに、どうしたらよいでしょうか。
10 治療を決める際に、医師と何をどう話をすればよいでしょうか。
11 セカンドオピニオンは聞きに行ったほうがよいでしょうか。
12 標準治療とは何ですか。また最善の治療を受けるコツは何ですか。
13 臨床試験に参加してくださいといわれましたが、どうしたらよいでしょうか。

■治療を受けるにあたって
●初期治療を受けるにあたって
14 初期治療の考え方と全体の流れについて教えてください。
15 治療前に行われる検査について教えてください。
16 初期治療には、どのくらいの治療費がかかりますか。
17 手術前の薬物療法について教えてください。
●手術
18 現在の標準的な手術の方法は何ですか。
19 乳房温存療法は、どのような場合に適応になりますか。
20 腋窩リンパ節を郭清することは必要ですか。
21 センチネルリンパ節生検について教えてください。
22 リンパ浮腫や痛みなど術後の後遺症について教えてください。
23 手術後の乳房がどのようになるかイメージできないので不安です。どのような準備をするのがよいでしょうか。
24 乳房再建について教えてください。
25 手術後の生活ではどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
26 手術後の下着やパッドは、どのように選んだらよいですか。
●病理
27 病理検査でどのようなことがわかりますか。
28 乳がんのなかには、通常の乳がんとは異なる特殊な病気がありますか。
●放射線
29 放射線療法について教えてください。
30 乳房手術後の放射線療法は何のために行うのでしょうか。
31 乳房温存手術後の放射線療法について教えてください。
32 乳房切除術後の放射線療法について教えてください。
33 乳房手術後の放射線療法の際にみられる副作用はどのようなものですか。また、対処法はありますか。
34 手術後の放射線療法は早く受けたほうがよいのでしょうか。
●薬物
35 再発予防のための薬による治療はどのように決定されるのでしょうか。

■初期治療後の診察と検査
36 手術後の経過観察は、どのように受けたらよいでしょうか。
37 腫瘍マーカーとはどのような意味があるのでしょうか。

■再発・転移について
38 再発・転移とは、どういう状態をいうのでしょうか。自覚症状はありますか。
39 再発・転移の治療について教えてください。
40 再発乳がんの治療の効果はどのように調べるのでしょうか。
41 再発・転移していることがわかりました。どのように気持ちを整理したらよいですか。
42 局所再発(温存乳房内再発、乳房切除術後胸壁再発、周囲のリンパ節再発)の治療について教えてください。
43 骨転移について教えてください。
44 脳転移について教えてください。

■薬物療法について
45 抗がん剤治療(化学療法)は何のために行い、どれくらい効果があるのでしょうか。
46 抗がん剤(化学療法薬)・分子標的治療薬の種類と用量は決められた通りに使用しなければいけないのでしょうか。
47 抗がん剤(化学療法薬)・分子標的治療薬にはどのような副作用がありますか。また、予防法や対処法はありますか。
48 抗がん剤治療による脱毛に備えて、どのような準備をしたらよいですか。
49 分子標的治療とは、どのような治療ですか。どんな人が治療の対象となりますか。また、副作用はあるのでしょうか。
50 ホルモン剤(内分泌療法薬)はなぜ効き、どれくらいの効果があるのでしょうか。
51 ホルモン療法(内分泌療法)は、何をどれくらい行えばよいのでしょうか。
52 ホルモン剤(内分泌療法薬)にはどのような副作用がありますか。また、対処法はありますか。

■療養上の諸問題について
53 不安です。どうしたらよいか教えてください。
54 食生活と乳がん再発リスクとの間に関連はありますか。
 54-1 肥満は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 54-2 脂肪の摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 54-3 アルコール飲料の摂取は乳がん再発のリスク因子になりますか。
 54-4 乳製品の摂取と乳がん再発リスクについて教えてください。
 54-5 大豆食品の摂取と乳がん再発リスクについて教えてください。
55 生活習慣と乳がん再発リスクとの間に関連はありますか。
 55-1 喫煙は乳がん再発リスクと関連がありますか。
 55-2 乳がんの再発を予防するためには、運動を多くしたほうがよいでしょうか。
 55-3 心理社会的な要因は乳がん再発リスクを高めますか。
56 家族(夫・子ども)とどう向き合えばよいのでしょうか。
57 治療後の生活の注意点を教えてください。
58 医療スタッフと上手にコミュニケーションをとるには、どのようにすればよいでしょうか。
59 薬の飲み方について教えてください。
60 抗がん剤(化学療法薬)やホルモン剤によってうつになることはありますか。
61 緩和ケアについて教えてください。
62 がんの痛みは我慢しないで痛み止めを使ったほうがよいでしょうか。薬の種類と飲み方を教えてください。
63 医療費などの経済的な支援制度はありますか。
 63-1 医療費が高くて支払いに困っています。何か良い方法はありませんか。
 63-2 一年間に支払った治療費や薬代の合計が高額となりました。税金の控除は受けられますか。
 63-3 治療のために仕事を休むことになり経済的に心配です。何か良い方法はありませんか。
 63-4 治療中はしばらく仕事を辞めて、体調が戻ってからまた働きたいです。何か手続きをしておいたほうがいいことはありますか。
 63-5 がんの症状により、日常生活に介助が必要です。仕事に就くこともできません。収入がなくなり、生活に困っているのですが、何か良い方法はありませんか。
 63-6 貯金もなく、医療費や生活費の支援をしてくれる人もいません。今後どうやって治療や生活を続けていくか途方にくれています。
64 免疫療法、高濃度ビタミンC 療法、アガリクスやメシマコブなど補完代替医療は乳がんに対して効果が期待できますか。乳がんの治療中にこれらを併用してもよいでしょうか。

■若年者の乳がん・男性乳がん
65 若年乳がんについて教えてください。
66 妊娠中に乳がんと診断されました。治療や妊娠・出産はどのようになりますか。
67 将来、妊娠・出産を希望しています。どうしたらよいでしょうか。
68 男性乳がんと診断されました。治療法について教えてください。

●質問集
●あとがき
●索引
はじめに

 今般、日本乳癌学会による「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年版」が、2年ぶりに改訂版として刊行されました。
 医療者が日常診療で何気なく用いている言葉は、ときに患者さんにとっては耳慣れないことがあり、それが積み重なってコミュニケーションギャップを生むことがあります。本書は、こうした問題を解消すべく、患者さんの立場に立って医療者向けの診療ガイドラインを解説することに主眼をおいて、2006年に初版が刊行されました。その後、3年ごとに改訂版を出しましたが、2012年からは、医療者向けの診療ガイドラインと毎年交互に出版されることとなりました。作成側にとっては、かなりのハードワークとなりますが、それだけ診断治療の進歩は著しく、タイムリーに新たな情報を取り入れることに注力しました。
 また、本書の特徴として、単に医療者向けのガイドラインを解説するだけではなく、多くの患者さんが診療の過程で抱く素朴な疑問(生の声)を拾い上げ、それに対して、なるべく平易な言葉を用いてわかりやすく解説することに努めています。特に、医療と生活をつなぐことを意識し、療養上の諸問題を多数取り上げています。すなわち、食生活を含む生活習慣と乳がん、家族(夫や子供)との向き合い方、働きながら治療を受けるうえでの支援制度等は、本書ならではのテーマです。また、さまざまな分子標的薬が保険承認となり、治療成績も確実に向上していますが、一方で、高額な医療費をどう賄うかということは、日々切実な問題となっています。個々の置かれている状況に応じて、受けられる支援制度も異なりますが、本書ではなるべく多くの事情に応えるべく設問を増やしています。
 本書が患者さんにとって、自分に相応しい治療法は何かを知る、あるいは、選択した治療を納得して受けるための一助となれば幸いです。
 最後に、本書の改訂にあたり、多くの時間を割き、多大なるご尽力をいただいた大住省三委員長をはじめとする作成委員会の方々、関係各位に心より感謝申し上げます。

2016年5月

日本乳癌学会理事長
中村 清吾