G-CSF適正使用ガイドライン 2013年版 Ver.2

ペグフィルグラスチムの新知見を盛り込み、Ver.2として刷新!

編 集 日本癌治療学会
定 価 3,024円
(2,800円+税)
発行日 2015/07/15
ISBN 978-4-307-20348-7

A4判・100頁

在庫状況 あり

12年振りに改訂された2013年版の刊行以降、ペグフィルグラスチムに関する国内臨床試験が実施され、一次予防的投与の有効性が示された。その結果、2014年9月にはペグフィルグラスチムが日本でも欧米に10年以上に遅れて承認された。2013年版Ver.2での変更点は、ペグフィルグラスチムに関する追加・修正が大半である。米国の臨床試験結果に基づき、FN発症頻度一覧も一部修正したが、推奨事項およびグレードの見直しなど本質的な変更はない。
はじめに
アルゴリズム
1.総論
2.発熱性好中球減少症の定義とリスク
3.一次予防的投与
4.二次予防的投与
5.治療的投与
6.対象患者(高齢者・合併症を有する患者を含む)
7.放射線併用時
8.投与量・投与法(保険診療)
9.バイオシミラー
10.ペグフィルグラスチム
11.G-CSFの薬物有害反応
12.造血器腫瘍
 1)骨髄系腫瘍
 2)リンパ系腫瘍
略語一覧
索引

Clinical Question一覧

CQ1. G-CSFの一次予防的投与は有用か?
CQ2. 化学療法の強度を増強または維持する目的でのG-CSF一次予防的投与は妥当か?
CQ3. 前コースで発熱性好中球減少症を生じた場合、抗がん薬の減量もしくはスケジュール変更を行わずにG-CSFの二次予防的投与を行いながら次コースの治療を行うことは適切か?
CQ4. 前コースで発熱性好中球減少症を生じた場合、次コース以降で二次予防的にG-CSFを投与することは有効か?
CQ5. G-CSFの二次予防的投与は、がん患者の生存期間を延長するか?
CQ6. 無熱性好中球減少症患者に、G-CSFの治療的投与をすべきか?
CQ7. 発熱性好中球減少症患者に、G-CSFの治療的投与をすべきか?
CQ8. 高齢者に対してG-CSFを一次予防的に使用すべきか?
CQ9. 高齢以外に一次予防的投与を考慮すべきリスク因子はあるか?
CQ10. 放射線を併用して化学療法を行う際や、単独で放射線療法を施行する際に、G-CSFを投与してよいか?
CQ11. G-CSFバイオシミラーを先行バイオ医薬品G-CSFと同様と考えて投与してもよいか?
CQ12. ペグフィルグラスチムの予防的投与は有用か?
CQ13. G-CSF投与による骨痛に対してNSAIDsは有効か?
CQ14. 自家末梢血幹細胞移植後のG-CSF投与は有用か?
CQ15. 同種造血幹細胞移植後のG-CSF投与は勧められるか?
CQ16. 急性骨髄性白血病における寛解導入療法・寛解後療法の好中球減少症にG-CSF投与は有効か?
CQ17. 骨髄異形成症候群におけるG-CSF投与は有効か?
CQ18. 急性骨髄性白血病における寛解導入療法の直前および化学療法中のG-CSF投与は有効か?
CQ19. 悪性リンパ腫において化学療法時のG-CSF一次予防的投与は勧められるか?
CQ20. 悪性リンパ腫の化学療法において治療強度を増強あるいは維持する目的でのG-CSF一次予防的投与は勧められるか?
CQ21. 悪性リンパ腫の化学療法においてG-CSFの二次予防的投与は勧められるか?
CQ22. 急性リンパ性白血病の寛解導入療法、寛解後療法時におけるG-CSFの一次予防的投与は勧められるか?
CQ23. 高齢悪性リンパ腫患者に対する化学療法においてG-CSF一次予防的投与は勧められるか?
CQ24. 多発性骨髄腫治療において発熱性好中球減少症発症に対するG-CSF予防投与は勧められるか?
2013年版Ver.2について

 2013年版は日本癌治療学会(JSCO)のがん診療における支持療法のガイドラインの一つとしてがん診療ガイドラインjsco-cpg.jp(http://jsco-cpg.jp/item/30/index.html)上に公開され、ほぼ同時期に冊子体として出版されている。
 初版が10年以上にわたり改訂されなかった反省から、常に最新の情報の収集に努め、そのエビデンスに基づく質の高い内容を維持し、かつ医師、看護師、薬剤師など医療スタッフが使用しやすいガイドラインを目指して、jsco-cpg.jp上の記載は毎年改訂し、冊子体は5年に一度、全面改訂することが本ガイドライン上に規定されている。その規定に沿い、2度のG-CSF適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループおよびe-mailによる協議、第52回JSCO学術集会におけるコンセンサスミーティングを経て、

(1)一次予防的投与については、現行版と同様、発熱性好中球減少症(febrileneutropenia:FN)発症リスクの低いレジメンに対しては、個々の患者のリスク因子を考慮し、G-CSF使用の適否を決定する方針に変更はない。
(2)ペグフィルグラスチムの治療的投与は推奨しない。
(3)バイオシミラーについては日本国内での臨床成績不十分とし推奨グレードはC1のままとする[欧米では最高推奨度]。
(4)文献検索は2014年12月1日まで延長する。

以上の項目が2013年版Ver.2作成における基本方針として決定された。
 Ver.2での変更点は、欧米に10年以上遅れてわが国で承認されたペグフィルグラスチムの加筆・修正が大半である。また、「3.一次予防的投与:現行版のFN発症頻度一覧(CQ1、表1)」において、乳がんのドセタキセル+シクロホスファミド併用療法(TC療法)におけるFN発症頻度を、米国の臨床試験結果に基づき、4.9%(改訂版では原著論文の記載に合わせ5%に変更)と記載していたが、わが国で実施された臨床試験では68.8%と極めて高頻度に発生している。こうした海外とわが国で大きくデータが異なる箇所は、併記、注釈を追加した。他にも、字句修正を行ったが、推奨事項およびそのグレードの見直しが必要になるような本質的な変更はなかった。
 本ガイドラインは、G-CSFに関する正確で最新の情報を全ての医療スタッフに理解しやすく発信し続けることを常に目指しており、ご助言・ご批判などお気づきの点があればご連絡頂ければ幸いである(office@jsco.or.jp)。
 最後に、今回の作業にあたって、学会事務局の織田美佐緒さん、川?恵さんのお二人には多大なご負担をかけたことを、ワーキングループを代表して衷心よりお詫びとお礼を申し上げる。

平成27年6月
G-CSF適正使用ガイドライン
改訂ワーキングループ委員長
木浦 勝行


序 文

 「がん診療ガイドライン」は、医療の現場において最善の医療を提供するための道標として実に大きな役割をはたします。本邦では、各種専門学会・研究会を中心に作成作業が精力的に行われ、日本癌治療学会もこれに参画、協力してきました。日本癌治療学会では「個別のガイドラインに関する情報を学会間で共有して評価し、広く一般に知らしめ、臨床の現場に普及させる」ために、「がん診療ガイドライン委員会」を設置、各種専門学会・研究会の協力を得て、各臓器・領域のがん診療ガイドラインの評価とウェブ公開に力を注ぐとともに、臓器横断的な領域についてのガイドラインの作成を進めてきました。『G-CSF適正使用ガイドライン』はその成果の一つであります。
 本ガイドラインの初版は、1994年のASCO(American Society of Clinical Oncology)におけるG-CSF使用のガイドラインの作成(1996年同改訂)を受けて設置された「G-CSF適正使用ガイドライン作成小委員会」を中心にまとめられました(IJCO vol 6. Supplement、 2001)。その後、世界においては、2005年にNCCN(National Comprehensive Cancer Network)、翌年にはEORTC(European Organisation for Research and Treatment of Cancer)が新たにG-CSF適正使用のガイドラインを作成し、2006年にはASCO版とNCCN版、2010年にはEORTC版で改訂が行われております。実地臨床の現場に正しい情報と適切な評価をすみやかに伝えるため、日本癌治療学会では、2010年からG-CSF適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループが中心となって作業を進め、この度の改訂版刊行となりました。初版刊行後12年を経て初めての改訂ということになります。
 本ガイドラインは、最新の情報を網羅し、かつ、わが国の医療制度の現状にも即した内容となっており、がん患者さんの生活の質を改善し、日々がん診療にご尽力しておられる医療従事者の方々の明日からの診療のお役に立つことを確信しております。
 最後に、これまで本ガイドラインの作成にご尽力いただきました、がん診療ガイドライン委員会前委員長の池田正先生、現委員長の石岡千加史先生、ワーキンググループ委員長の木浦勝行先生をはじめとして、多くの関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

平成25年11月
一般社団法人日本癌治療学会理事長
西山 正彦