必ずアクセプトされる医学英語論文 完全攻略50の鉄則

英語論文執筆のノウハウを50の鉄則に基づき実践的に解説。

著 者 康永 秀生
定 価 3,456円
(3,200円+税)
発行日 2016/01/20
ISBN 978-4-307-00478-7

A5判・202頁・図数:18枚・カラー図数:6枚

在庫状況 あり

いかなる発見も、論文に書かれなければ何も残らない。本書は医学部の6年間では充分に教育されない医学英語論文執筆の実践的な方法を解説する。Non-nativeのための誤りのない無難な英語表現技術、論理性・一貫性を重視した論文各パーツにおける論述・構成のノウハウ、論文投稿から掲載までの各手続きの対処法など、本書が挙げる50の鉄則が投稿誌にアクセプトされる最短の道を照らす。医学論文作成に関わる全ての研究者必読の書。
第1章 医学論文を書くための準備
 <論文執筆準備のための鉄則>
 [鉄則1] 自分が論文を書く意義を見つめ直す。
 [鉄則2] 書かなければ、何も残らない。
 [鉄則3] 「書く」ことを意識して「読む」。
 [鉄則4] 頻出表現リストを自作する。

第2章 Fool−proof Englishの表現技術
 <Fool−proof Englishの鉄則>
 [鉄則5] Fool−proof English(誤りのない無難な英語)の表現技術を身につける。
 [鉄則6] 冗長・曖昧な表現を徹底的に排除する。
 [鉄則7] 読み手が誤解するのは、書き手の責任であることを自覚する。
 [鉄則8] 研究計画段階から論文を書き始める。

第3章 Introductionの書き方
 <Introductionの鉄則>
 [鉄則9]  Introductionは4パラグラフ構成を基本とする。
 [鉄則10] 各パラグラフに意識的にkey sentenceを挿入する。
 [鉄則11] 冗長な先行文献解説を排除する。
 [鉄則12] 末尾の研究目的に向かって、一直線に論理展開する。

第4章 Methodsの書き方
 <Methodsの鉄則>
 [鉄則13] Methodsの再現性(reproductivity)を最重視する。
 [鉄則14] デザイン、介入・曝露、適格基準、セッティングを明記する。
 [鉄則15] アウトカムの定義と測定法を明記する。
 [鉄則16] 統計解析方法を完璧に記述する。

第5章 Resultsの書き方
 <Resultsの鉄則>
 [鉄則17] Resultsには一切の価値判断を交えず、事実を客観的に淡々と書く。
 [鉄則18] Methodsの順に沿って、実験・観察結果を簡潔明瞭に書く。
 [鉄則19] TableとFigureをself−explanatoryにする。
 [鉄則20] Table・Figureと本文の重複記載はご法度。
 [鉄則21] Resultsにおける定型表現を用いたfool−proof Englishに徹する。

第6章 Discussionの書き方
 <Discussionの鉄則>
 [鉄則22] Discussion全体を通じた論理一貫性を強く意識する。
 [鉄則23] すべてのトピックをConclusionに向かって一直線につなげる。
 [鉄則24] Resultsに基づいて議論する。言えないことは言わない。
 [鉄則25] 研究の新規性(novelty)を強調する。
 [鉄則26] 冗長・曖昧・蛇足を一切排除する。
 [鉄則27] Limitationの記載をはしょってはならない。

第7章 Abstractの書き方
 <Abstractの鉄則>
 [鉄則28] 「完全、正確、明快3(complete、 accurate and clear)」を追求する。
 [鉄則29] キモとなる統計分析結果を厳選して示す。
 [鉄則30] 可能な限り、相対リスクだけでなく絶対リスクも示す。
 [鉄則31] AbstractのConclusionに論文のすべてを凝縮する。

第8章 Titleの書き方
 <Titleの鉄則>
 [鉄則32] Titleには一語たりとも無駄なwordを含めてはならない。
 [鉄則33] 簡潔かつ必要充分な情報を含むTitleを書く。
 [鉄則34] 自己主張の強い表現を避け、慎重な記述を心がける。
 [鉄則35] 体言止めを旨とし、完全文タイトルを避ける。

第9章 投稿から掲載まで I
 <投稿の鉄則>
 [鉄則36] 投稿前に原稿の体裁を完璧に整える。
 [鉄則37] 著者の要件を満たさない者を共著者に加えてはならない。
 [鉄則38] Aims and Scopeに合う適切な投稿先を選択する。
 [鉄則39] 記念受験するべからず。身の程を知るべし。

第10章 投稿から掲載まで II
 <Reviseの鉄則>
 [鉄則40] Rejectされても落ち込まない。
 [鉄則41] Rejectに対するappealは時間の無駄と心得る。
 [鉄則42] Revisionには初回投稿時より心血を注ぐ。
 [鉄則43] 編集者・査読者に敬意を払う。
 [鉄則44] 厳しい査読コメントにも耐えて修正する。

第11章 査読コメントの書き方
 <査読の鉄則>
 [鉄則45] 査読は恩返しであると心得る。
 [鉄則46] 建設的、教育的な査読コメントを書く。
 [鉄則47] 過度に批判的なコメント、攻撃的なコメントはご法度。
 [鉄則48] Limitationを許容する。
 [鉄則49] 学術の発展に寄与するようなコメントを心がける。
 [鉄則50] 再査読の時点での新たな追加修正要求はご法度。

■コラム
 コラム 1:臨床研究 = 臨床試験?
 コラム 2: Core clinical journalsとは
 コラム 3:英英辞典クイズ
 コラム 4:発音クイズ
 コラム 5:武士道の英語はかくも流麗なり
 コラム 6:和英辞典が必要であったレア・ケ−ス
 コラム 7:ラテン語の乱用不可
 コラム 8:多変量回帰分析における独立変数の選択
 コラム 9:セミコロン(;)とコロン(:)の使い方
 コラム10:誤差、バイアス、交絡
 コラム11:「つなぎ言葉」をマスタ−しよう
 コラム12:ハイフン( − )を用いた単語数節約術
 コラム13:なぜエヴァンズに頼まなかったのか?
 コラム14:iPS細胞詐称事件の余波
 コラム15:査読、恐れるに足らず?
 コラム16:査読者・編集者がRejectを判断するポイント
 コラム17:査読結果の通知がなかなか送られてこないときは
 コラム18:姉妹誌投稿の推薦がきたら
 コラム19:Salami−slicing submission
 コラム20:査読者の負担
 “No job is finished until the paperwork is done.”―いかなるアイデアの発案も、いかなる観察・実験も、いかなる分析・考察も、書かなければ何も残らない。しかし、多くの研究者が文章を書くことの困難さを痛感し、論文を著すことを億劫がる。チャ−ルズ・ダ−ウィンはこう言ったという―「自然科学者が自然を観察するだけでよく、論文を書く必要が無ければ、彼の人生は実に幸せだろう」

 本書の主なねらいは、医学部の6年間では充分に教育されない、医学英語論文執筆の実践的な方法を解説することにある。基礎医学論文でも臨床医学論文でも、論文を書く上での心構えや日々の鍛錬の方法には共通する点が多い(それらはさらに医学論文のみならず、広く一般にあらゆる科学論文にも共通する事柄である)。すなわち、(1)日頃から自分の専門領域の論文を精読し、その領域に特有の表現リストを作成するなどの準備作業、(2)non−nativeでも書ける、曖昧な(ambiguous)表現・冗長な(redundant)表現を一切排除したfool−proof English(誤りのない無難な英語)の表現技術を身につけること、(3)論理性(logicality)・一貫性(consistency)を重視した論述の構成力を養うこと等々は、分野によらず論文を書くために不可欠である。
 「医学論文の書き方」に関する著作や論説はこれまで数多く認められる。しかし、本書はこれまでの類書と異なる次のような特徴がある。
 
1.東大の授業で実際に教えられているメソッド
 本書に示されている医学英語論文執筆のメソッドは、筆者が教鞭を取る東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(School of Public Health)の演習で実施され、受講生から好評を博しているメソッドである。実際に、論文執筆経験のない受講生たちが本書に書かれてある内容に沿って鍛錬を積み、その後自ら医学英語論文を執筆し、国際誌に多数アクセプトされている。

2.筆者は臨床疫学の専門家
 本書の筆者は臨床疫学のプロフェッショナルである。筆者が説く英語論文執筆のメソッドは、単なる英語の知識にとどまらず、疫学・統計学の知識を背景とした、臨床論文に必須の論理(logic)と構成(organization)の重要性を強調する。特に臨床医が苦手とする統計分析の表記法に関しては、臨床疫学者ならではの視点から、正しい作法を教授するものである。
 英語翻訳家の執筆による類書は、単にきれいな英語の書き方を指南するばかりである。臨床医の執筆による類書は、自分の経験談に終始して一般性に欠ける内容が多く見受けられる。本書は、医学英語論文を臨床医学・疫学・統計学・英語の知識と知恵の集大成と捉え、それらをフルに活用した医学英語論文執筆の高度なメソッドを伝授する内容となっている。

3.査読コメントの書き方についての解説
 複数の論文を執筆しそれらが出版されると、その後、今度はjournalから査読の依頼が来る。しかし多くの研究者は査読コメントの書き方について教わった経験がない。本書は、論文執筆メソッドのみならず、論文査読メソッドまで記されている点が、類書に見られないひとつの強みである。

 本書の構成は以下の通りである。第1章では、医学論文を書くため最初の準備として、「書く」ことを意識して「読む」、論文の精読法を解説している。第2章では、fool−proof Englishを書くための様々な留意点について詳述している。第3章から第8章までは、原著論文の各セクションに沿った論文の執筆手順についての解説である。論文を書く順番は、Introduction ⇒ Methods ⇒ Results ⇒ Discussion ⇒ Abstract ⇒ Titleとするのが正しい。各セクションにおける論理と構成について詳述している。第9章と第10章は、投稿から掲載までの各手続きの円滑な対処法など有用な情報を提供している。第9章は投稿までの準備と実際の投稿作業、第10章は査読意見への対応から採択・掲載までの道のりを詳しく説明している。第11章は査読コメントの書き方を解説している。
 各章ごとに論文執筆のための鉄則を挙げ、それらをまとめて、医学英語論文執筆・完全攻略のための50の鉄則に仕上げた。

 本書の対象読者は、まだ論文を書いたことのない若手の医師・医学研究者だけでなく、論文を書くことを億劫に感じている臨床医、さらには若手の論文執筆を指導しなければならない立場の上級医である。

 なお本書は、金原出版『整形・災害外科』2014年7月号から2015年6月号までに連載された好評シリ−ズ「臨床疫学論文の書き方」を大幅加筆し、単行本としてまとめたものである。雑誌連載や単行本化をご進言いただいた『整形・災害外科』編集委員の先生方に厚くお礼を申し上げる。また、連載中や本書執筆中にも絶えずご支援をいただいた金原出版の編集者である山下眞人氏にも心からお礼を申し上げる。

2015年12月 
                                              康永秀生