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曝露予防対策

1

ヒエラルキーコントロール(hierarchy of controls)

ヒエラルキーコントロールとは,職業上の危険性への曝露を排除または最小限にする

ためのリスクマネジメントの概念である(

図3

)。職業上の危険性への曝露をコントロー

ルすることは労働者を保護するための基本的な方法であるという考え方に基づく。この
図において上層は下層よりも効果的であることを示しており,実現可能で効果的な方法
を決定する手段として用いられる。OSHA‌

1)

は,雇用者は労働者を保護するために上位

の階層から順に実施するよう求めている。

ONSとISOPP(

参考1

)は,HDの曝露予防に関するヒエラルキーコントロールを示し

ている。いずれも曝露予防に効果的な機械や器具を使用すること,組織内で設定した指
針・手順に従い職員が適切に業務を実施すること,適切なPPEを装着すること,の順
に優先度が高い点では同様である。ただし,ONSでは看護師の視点から投与やケア場
面における危険物質の拡散防止や曝露防止が強調されているのに対し,ISOPPでは薬

除去・置換

(Elimination/

Substition)

従事者が何か装着

することを求める

従事者または雇用者に

何かするよう求める

最も効果が高い

最も効果が低い

エンジニアリング

コントロール

(Engineering Controls)

作業実践を含む組織管理的

コントロール

(Administrative Controls

including Work Practice)

個人防護具

(Personal Protective Equipement)

職場に対する物理的な

変更を求める

図3 ヒエラルキーコントロール

http://www.osha.gov/dte/grant_materials/fy10/sh-20839-10/hierarchy_of_controls.pdf(2015.3.19アクセス)

参考1 ISOPPのヒエラルキーコントロール

3)

ISOPPのヒエラルキーコントロールはレベル1〜4で分類され,上位のレベルから順に防護策を

導入すること,上位のレベルが不可能または不十分な場合,次のレベルを適用することが示され
ている。最上位はレベル1「除去,置換,代替」であり,レベル2「危険物/汚染源の隔離」,レベル
3「エンジニアリング・コントロール/換気」,レベル3B「人事管理/組織対応」,レベル4「個人防
護具」と続く。