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準広汎子宮全摘出術+骨盤リンパ節郭
かく
清
せい
脈管侵襲が陽性の場合は、骨盤リンパ節に転移している場合があることか
ら、準
じゅんこうはんしきゅうぜんてきしゅつじゅつ
広汎子宮全摘出術(
図2
)に加えて、骨盤リンパ節を郭清(系統的にす
べて摘出すること)するのが通常です。準広汎子宮全摘出術とは、ⅠB期以降
の標準治療である広
こうはんしきゅうぜんてきしゅつじゅつ
汎子宮全摘出術(
図3
)を縮小した手術で、単純子宮全摘
出術より少し広めに切除します。
なお、子宮頸部円錐切除術でⅠA1期と診断され、単純子宮全摘出術を行っ
た後にⅠB期以上のがんであることが判明した場合には追加治療が必要とな
り、放射線治療あるいは同時化学放射線療法などが行われます。
ⅠA2期の治療法
準広汎子宮全摘出術+骨盤リンパ節郭清
ⅠA2期は、骨盤リンパ節転移の頻度が10%以下とⅠA1期と比べて高く、
少なくとも骨盤リンパ節郭清を行う必要があると考えられています。そこで
表1
に示すように、脈管侵襲が陰性であっても、通常、ⅠA1期のところで述
べた「準広汎子宮全摘出術+骨盤リンパ節郭清」が望ましいとされています。
しかし、円錐切除標本の詳細な病理組織検査の結果、全く脈管侵襲が認められ
ないときは、リンパ節郭清の省略が行われることもあります。
広汎子宮全摘出術+骨盤リンパ節郭清
脈管侵襲が陽性ならば、骨盤リンパ節郭清を含めた広汎子宮全摘出術が望ま
しいとされています。この手術では、子宮だけでなく子宮を支える基
き
靱
じん
帯
たい
や腟
の上部2~3cmを含んで十分に摘出することが可能で、加えて骨盤リンパ節
を郭清します。
基靱帯とは、子宮頸部の外側から骨盤壁に向かって広がる強靱な結合組織
で、子宮を支持する役割を担っています。基靱帯には血管やリンパ管が含まれ
ているので、子宮頸がんの主な浸潤・転移経路となります。
合併症の予防
広汎子宮全摘出術では幅広く切除するため、体への負担が大きく、術後合併
症がどうしても起こりやすくなってしまいます。骨盤リンパ節の郭清によって
リンパ液の流れに障害が生じてたまってしまうため、下肢がむくんだり、骨盤
内にリンパ嚢
のう
胞
ほう
(中に液体のたまった空洞)が形成されたり、感染を起こした
りすることがあります。さらに、骨盤神経や下腹神経といった排尿機能に関係
する神経の切除が必要になることがあり、その場合には、術後に排尿障害や尿
失禁などが生じる可能性もあります。そのため現在では、骨盤リンパ節の郭清
範囲を慎重に選定すること、広汎子宮全摘出術を行う際に骨盤神経温存術式と