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子宮頸がん
べてその後の治療法が決定されます。
なお、子宮頸がんには大きく分けて、扁平上皮がんと腺がんがあります。こ
こでの治療法の記述は扁平上皮がんのものですので、ⅠA期の腺がんについて
はQ12をご覧ください。
ⅠA1期の治療法
単純子宮全摘出術
子宮頸がんで最も転移しやすいところは骨盤の中のリンパ節です。ⅠA1期
では、骨盤リンパ節(90ページ・図1参照)へ転移している頻度は0~1%と
低い数字が報告されています。したがって、脈管侵襲が陰性ならば、骨盤リン
パ節転移の可能性が比較的低いと考えられ、単
たんじゅん
純子
しきゅう
宮全
ぜんてきしゅつじゅつ
摘出術(
図1
)が推奨
されます。
単純子宮全摘出術は、その名のとおり子宮をすべて取り除いてしまうので妊
娠することができなくなってしまいます。そこで、妊娠を強く希望する患者さ
んに対しては、脈管侵襲が陰性で切除断
だん
端
たん
も陰性なら、妊
にん
孕
よう
性
せい
(妊娠できる機
能)を保持できる子宮頸部円錐切除術を最終の治療として、再発を見逃さない
ように厳重な管理を行いながら子宮を残すことも可能です。再発すると子宮を
残すことが難しくなりますから、定期的に通院することが何より大切です。
妊孕性の保持についてはQ09、定期的な通院についてはQ14もご覧くださ
い。
診 断
治 療
ⅠA 1期子宮頸部
円錐切除術
脈管侵襲-切除断端-❶単純子宮全摘出術
❷妊娠を強く希望する場合に
は、子宮頸部円錐切除術を
最終治療にできる
+単純子宮全摘出術
+
準広汎子宮全摘出術
+骨盤リンパ節郭清
ⅠA 2期子宮頸部
円錐切除術
脈管侵襲-
準広汎子宮全摘出術
+骨盤リンパ節郭清
+
広汎子宮全摘出術(骨盤神経
温存)+骨盤リンパ節郭清
放射線治療
日本婦人科腫瘍学会編『子宮頸癌治療ガイドライン 2011年版』金原出版、2011より作成
ⅠA期の扁平上皮がんの診断と治療
表1