2 骨腫瘍病理各論 87

画像所見 

図3

 

大腿骨,上腕骨近位,脛骨・腓骨近位の骨幹端部に好発し,扁平骨発生

は少ない。単発性と多発性がある。
 単純X線像では骨幹端周囲の有茎性または広基性の骨隆起性病変であ
り,正常骨皮質と病変の骨皮質に連続性があり,病変部にも正常な骨梁構
造をみることができる。CT,MRIでは骨皮質・骨髄の連続性を確認する
ことができる。また腫瘍の本体である膨隆部先端の軟骨帽(cartilage cap)
はMRIにて明瞭に描出される。T2強調像で高信号として捉えられる軟骨
帽が厚くなると悪性化の可能性があるため,大きな腫瘍・扁平骨発生の場
合はMRIで軟骨帽を評価する必要がある。

1-2 軟骨腫 Chondroma 9220/0
悪性性格を示さない成熟した軟骨形成よりなる腫瘍性病変全体を指し,大多数は骨

内発生の内軟骨腫enchondromaで,骨表面発生の骨膜性軟骨腫 periosteal(juxtacor-
tical)chondromaは稀である。軟部に発生する場合(軟部軟骨腫soft tissue chon-
droma)もある。

1-2-1 内軟骨腫 Enchondroma 9220/0 

図4〜6

正確な頻度は不明で,年齢および性差には特異性がない。手・足の小さな骨,特に

基節骨に多いが,母指・母趾や末節骨には稀である。大腿骨のような大きな長管骨に
生じた(特に大きな)病変はほとんどは無症状で,多くは偶然に発見されるが,病的
骨折がないのに痛みや腫脹を伴う場合はむしろ軟骨肉腫の可能性が疑われる。約
30% が多発例とされる。単発例の約50%,多発例の約90%にIDH1/IDH2のヘテロ
接合性体細胞突然変異がみられる。多発性内軟骨腫の内,Ollier病は概して片側性の
分布傾向を示し,Maffucci 症候群は軟部の多発性血管腫を伴う。

肉眼的にはよく限局された灰蒼白調の軟骨色を示す病変で,多くは分葉状である。

しばしば石灰化を伴い,骨化を認める場合もある。成書には壊死や粘液変性がしばし

図4 Enchondroma

図5 Enchondroma of hand

骨皮質を越えない膨隆。