観察されないことが判明した。また,IDH1遺伝子変異のある膠芽腫は変異のない膠芽腫
に比べて生存期間が有意に長く,IDH1遺伝子変異も有用な予後因子であることが判明し
ている

3,4)

 米国で推進されているThe Cancer Genome Atlas(TCGA)projectの一つとしてPhillips
らは,260例の初発膠芽腫について遺伝子発現のプロファイリング解析を施行し,4つのパ
ターンproneural, neuronal, classical, mesenchymalに分類できることを提唱している。こ
の中で,神経細胞の発生に関わる遺伝子の発現が亢進しているタイプ(proneural)が,よ
り長い生存期間を示すことを報告した

12)

 Noushmehrらは,やはりTCGA projectの一環として272例の膠芽腫について,全ゲノ
ムのメチル化の状態を解析し,多数の遺伝子のプロモーター領域においてメチル化が認め
られる一群があることを示し,これをglioma—CpG island methylator phenotype(G—
CIMP)と名付けた。G—CIMPは,遺伝子発現におけるproneuralタイプと臨床的な続発
性膠芽腫にかなり重複することが見出されており,さらにIDH1遺伝子変異とも密接に相
関していることが示唆されている

13)

5

フローチャート

11

総論

1

成人膠芽腫