胃体部を2本のバブコック鉗子で把持しlinear 
stapler(青またはゴールド)で切離し,胃切除を完
了する。胃を切離する際に考慮すべきことは,適正
な高さのカートリジの選択である。小彎のstaple 
lineは癒着防止のため,予定吻合孔の近くを除き被
覆閉鎖する。
 胃の切離線をサージカル・マーキングペンで目印
をつけておくとstaplerで正確に切離可能となる。必
ずしも一直線に切る必要はなく,残胃の容量をより
多くするために方向を変えることもある。

 通常は,結腸後経路を用いるので横行結腸間膜(中
結腸動脈の左側)を切開し,これを通して空腸を上
腹部に引き出しておく。なお,結腸前と比較してこ
ちらがよいというエビデンスはないが,肥満患者な
どで大網が大量にある場合は明らかにこちらの方が

よいと思われる。Treitz靱帯から20〜30cmの部位
で空腸間膜血管を処理し,linear staplerで空腸を切
離する。遠位断端は埋没縫合を加えておく。

(Treitz

側を胃と吻合してしまうというミスが起こらないよ
うにする目印になる。)
 Staplerを使用する際の空腸の向きをいつも同じ
にして,

「切離後すぐに埋没縫合を加える」

「胃空腸吻

合の際には必ず埋没糸の存在を確認する」などの自
分なりのパターンを作ってそれを遵守することがミ
スをなくす方法であろう。連続した吻合の流れが止
血操作などで中断された場合などが要注意である。
 胃・空腸吻合は側側で行う。挙上空腸の断端から
6cmの部位で,腸間膜対側に小孔を作成する。次
いで,胃体部のstaple lineの端を切り落とす。それ
ぞれの小孔に,linear staplerのカートリッジを挿
入し(

図156

),残胃大彎後壁にてfireする(

図157

)。

この操作により残胃・空腸側々吻合が作成される。
吻合孔より吻合部のstaple lineからの出血の有無を
観察する。出血があった場合は電気メスで焼灼止血
する。

胃の切離 

( 

図155

 )

胃・空腸吻合

胃の切断

図155

胃の切離線の目印

120

3.5

 幽門側胃切除(D2)