L.肝癌治療効果判定基準
33
.標的結節の直接治療効果判定
1 標的結節の治療効果判定は主として造影CTにおける対象肝内病巣の腫瘍濃染像の縮小
や消失から腫瘍壊死効果および腫瘍縮小率を算出する。その際,造影CTは,造影MRI
や造影超音波検査で代替し得る。
2 壊死効果は画像診断に基づき判定し,腫瘍断面の面積に占める壊死所見が得られた領域
の面積の百分率を算出し判定する
(註)
。
註: 1つの腫瘍で多様な断面が得られる場合は,それらの総和を原則とする。ただし,最大断面
が腫瘍全体の所見を代表するとみなされる場合は,最大断面の所見をもって判断する。
3 縮小率は,腫瘍の最大割面における長径とそれに直交する最大径の積を求め,以下の式
にて算出する。
縮小率=[(治療前の積)-(治療後の積)]/(治療前の積)×100
4 標的結節治療効果度(Treatment Effect:TE)
個々の病巣の治療効果度の判定は,治療開始後一定期間内
(註1)
の腫瘍壊死効果
(註2)
ま
たは腫瘍縮小率の最大効果をもって,以下の表に示すように4段階で行う。
表 .標的結節治療効果度(Treatment Effect:TE)
TE4
腫瘍壊死効果100%
(註2)
または腫瘍縮小率100%
TE4a腫瘍影より大きな壊死巣
TE4b腫瘍影相当の壊死巣
TE3
腫瘍壊死効果50%以上,100%未満
または腫瘍縮小率50%以上,100%未満
TE2
TE3およびTE1以外の効果
TE1
腫瘍が50%増大(治療による壊死部分を除く)
(註3)
註 1: 局所療法(エタノール注入療法,マイクロ波凝固療法,ラジオ波焼灼療法,リピオドー
ルを併用した肝動注化学療法,肝動脈塞栓療法や肝動脈化学塞栓療法ならびに全身化学
療法の治療効果判定は治療後1~3カ月とする。ただし,一連として複数回にわたって
行った場合については最終治療から1~3カ月とする。放射線療法においては治療開始後
6カ月以内の最大効果で判定する。
註 2: 局所療法においては,治療前にみられたCTの後期低濃度域よりも不染低濃度域が全周
にわたりやや広く出現した所見をもって100%壊死(TE4a)とする。また濃染消失のみ
で,やや広い不染域がない場合はTE4bとする。肝動脈塞栓療法においては,標的結節
全体の縮小傾向,造影CTによる腫瘍濃染像の欠落,リピオドールを用いた場合は腫瘍
全域にわたるリピオドールの濃い集積,リピオドールの集積域の縮小をもって腫瘍壊死
効果100%(TE4)とする。放射線治療においても,壊死が認められれば壊死効果として
評価する。
註 3: RECICL2009までは,25%以上の増大をTE1としPDとして扱っていたが,2方向計測
における25%増大は,1方向でいうところの約11%増大に相当し,RECIST v1.1のPD
基準における20%増大よりも厳しい判定となる。RECIST v1.1と整合性をとるとする
と,1方向測定で20%増大であれば2方向測定では44%増大に相当することになる(1.2
倍×1.2倍=1.44倍)。ほとんどの場合にRECISTによるPDでも治療継続がなされるこ