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図はライナックの実機写真とその断面図である。

ライナックでは,電子を加速してそのまま取り出せば電子線治療,加速した電子をターゲットに当て

て出てくるX線を使えばX線治療ができる。

電子の加速から出力までの流れは下記の通りである。

 1. 電子銃により電子を約10~70 kVの電位差で加速管内に注入する。
 2. 加速管(進行波型・定在波型)に入った電子は,約3000 MHzのマイクロ波による高周波電場によ

り加速を受ける。マイクロ波は,クライストロンやマグネトロンから供給され,導波管を通して加
速管内に注入される。

 3. 必要なエネルギーに加速された電子は偏向マグネットで90度または270度に曲げ,水平方向から

垂直な電子ビームにする。

 4. 真空中から電子取り出し窓を通して大気中に取り出された電子は,

・X線治療の場合
 → ターゲットに衝突させてX線を発生させ,その強度分布をフラットニングフィルタで平坦化

する。

・電子線治療の場合
 → 電子取り出し窓を出た細い電子ビームは,スキャッタリングフォイルで拡散させる。

  4 治療ビーム発生の流れ

 ビーム発生の概要

照射台

(カウチ)

電子銃

断面

加速管

偏向電磁石

X線ターゲット

マルチリーフ

コリメータ

電子線

X線

クライストロン

導波管

カルーセル
Jaw(セカンダリ

コリメータ)