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胸 部

病 名

治療の概要

治療法

非小細胞肺癌

Non-small cell 

lung cancer

6〜10 MV X線(定位照射では6 MV)

照射範囲は原発巣と転移部および予防領域

局所進行例で根治をねらう場合は化学放射

線療法が標準的

気管支腔に小さい腫瘍がある場合は気管支

腔内照射と外部照射を併用で行う

前後対向2門照射などで開始し,徐々に照射野を狭

めていく

肺のV20(正常な肺のうち20 Gy以上が照射され

る体積)≤35%となるようにする

 ・ 60 Gy/30回以上

肺癌の治療計画には不均質補正を考慮に入れた線量

計算アルゴリズムを用いる

呼吸性移動対策として腹部圧迫,呼吸同期,息止め

などの条件下で照射を行う

小細胞肺癌

Small cell lung 

cancer

6 MV X線

照射範囲は原発巣と転移部および予防領域

化学放射線療法が標準的

限局型症例については脳転移を起こしやす

いため予防的全脳照射も行う

前後対向2門照射などで開始し,徐々に照射野を狭

めていく

 ・ 通常分割照射:50〜60 Gy/25〜30回

 ・ 加速過分割照射:45 Gy/30回/3週

乳 癌

Breast 

cancer

乳房温存

療法

4〜6 MV X線,小線源

温存乳房全体に照射

接線対向2門照射が一般的

 ・ 均一な線量分布を得るため,ウエッジフィルタや

field in field法を用いる

 ・ 45〜50.4 Gy/25〜28回

腫瘍床周囲に対する部分照射では,外部照射または

小線源治療を用いる

乳房切除

術後照射

4〜6 MV X線

手術創を含む胸壁と周囲のリンパ節を照射

範囲とする

接線対向2門照射が一般的

 ・ 胸壁への照射はボーラスを使用する

 ・ 45〜50.4 Gy/25〜28回

乳癌への照射

ウエッジ

フィルタ

乳癌の接線対向2門照射は,ウエッジフィルタや

field in field法を用いることで線量の均一性を高め
る。胸壁への照射は,十分な線量を確保するためボ
ーラスを使用する。

肺癌の体幹部定位照射

腫瘍が5 cm以内で転移がない場合に良

い適応となる。通常6 MVのX線を用い
る。呼吸性移動対策として腹部圧迫,呼吸
同期,息止めなどを行い,照射範囲を極力
小さく抑える。高い位置精度で治療を行う
必要があるため,画像誘導放射線治療装置
を用いる。

化学放射線治療とは

放射線治療で原発巣と所属リンパ節を含む範囲の治療を行いつつ抗癌剤で全身への転移の制御ま

たは転移予防を行う。微小な転移や低酸素下にある腫瘍に対しても有効である。投与時期は同時併
用,交互併用,連続異時併用がある。頭頸部,肺,食道などが良い適応である。副作用として,正常
組織の放射線に対する反応を高める。