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  2 BNCTにおける照射体系

これまでの主流となる照射設備である。原子炉を用いるため,病院に併設できない。

原子炉中で

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Uの核反応で得られた連続エネルギースペクトルを持つ中性子を,重水シャッターによ

る減速,カドミウムシャッターによる熱中性子成分のみを取り除く作用などにより,治療で用いる必
要なエネルギー帯成分を取り出すように調整する。

日本国内では,日立製作所(Hitachi Training Reactor:HTR),日本原子力研究開発機構(Japan Re-

search Reactor No.2, 3, 4:JRR-2, JRR-3, JRR-4),京都大学原子炉実験所(Kyoto University Reac-
tor:KUR),武蔵工業大学(Musashi Institute of Technology Reactor:MuITR)が稼働し,臨床研究
が行われていた。

 原子炉BNCTの概要

原子炉

重水タンク

プール

カドミウムフィルタ

コリメータ

重水シャッター

加速器を用いた,次世代型BNCT技術である。病院内の併設が可能であり,BNCTの普及に向けて,

さらなる研究が進められている。

装置は

加速器,

ビーム輸送装置,

中性子照射治療装置に大別される。

加速器にはサイクロトロンやリニアックが用いられ,陽子を数MeV〜数十MeVに加速する。

加速した陽子を治療室まで輸送するため,輸送中のビーム軸制御装置として電磁石などが用いられる。

輸送した陽子をターゲットに照射することにより(p, n),

(p, xn)反応などを起こし,中性子を発生させる。

発生した中性子スペクトルを医療用に調整するために高速中性子をカットするフィルタ,減速するモ

デレータなどを通し,コリメータにより照射野を形成して,患者に中性子ビームを照射する。

 加速器BNCTの概要

サイクロトロン,

リニアックなど

電磁石

ターゲット

コリメータ

高速中性子フィルタ,モデレータ

ビーム

輸送装置

中性子照射

治療装置

加速器