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  2 線量率効果

  3 酸素効果

 放射線の線量率による生物学的効果

線 量(Gy)

細胞

同じ時間内で…

標的

a

:高線量率照射

標的

b

:低線量率照射

高線量率照射

低線量率照射

グラフにすると

 細胞の酸素分圧と放射線感受性

放射線感受性

酸素分圧(mmHg)

一気に上昇!

3.0の一定の値となる

酸素

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

10203040506070155760

 酸素状態と生存率曲線

線 量(Gy)

無酸素状態

高酸素状態

細胞生存率

0

1

2

3

4

単位時間当たりにどれほどの線量を浴びたかのこと

を線量率という。

一般的に,放射線の線量が同じでも,一度に高い線

量を浴びる(高線量率照射)(

a

)よりも,低い線量

を長い間少しずつ浴びる(低線量率照射)(

b

)方が

生物学的効果も少しずつ現れる。これを線量率効果
という。

線量率効果は,対象となる生物効果の指標によって

も,線量率の範囲によっても,また放射線の種類に
よっても異なる。

細胞の酸素分圧が高いほど放射線感受性が高い。

(酸

素存在下では無酸素下より細胞の放射線感受性が高
くなる)。

腫瘍は血行が悪く,低酸素状態なため,放射線感受

性は低下する。

無酸素下での放射線感受性を1とした場合の,放射

線感受性と酸素分圧の関係は図の通りである。

酸素分圧10 mmHgまで放射線感受性が一気に上昇

し,酸素分圧40 mmHgを超えると放射線感受性は
3.0の一定の値となる。

ヒトの正常細胞の酸素分圧は40~100 mmHgとい

われている。

図に無酸素状態の細胞と高酸素状態の細胞の生存率

曲線を示す。

酸素の有無による細胞や組織の放射線増感効果の割

合を酸素増感比(oxgen enhancement ratio:OER)
という。OERは下式で表される。

OER=

ある生物効果を無酸素下で起こす放射線の線量(

同じ生物効果を酸素下で起こす線量(

たとえばある生存率に注目すると,無酸素状態の細

胞では3 Gyであるのに対し(

),高酸素状態の細

胞は1 Gyで同じ生存率となる(

)。この場合,高

酸素状態の細胞のOERは3.0となる。