163
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
5
章
第
6
章
第
7
章
第
8
章
第
9
章
第
10
章
第
11
章
第
12
章
8 ノンコプラナー照射
●
通常,ガントリは患者の体軸に対して同一平面上を回転して照射を行う。これをコプラナー照射とい
う(
a
)。
●
コプラナー照射に対し,治療寝台(患者の体軸)の向きを変え,ガントリを回転させると3次元的に
あらゆる方向から照射が可能になる。これをノンコプラナー照射という。
●
ノンコプラナー照射によって行われる原体照射を三次元原体照射という。
●
ノンコプラナー照射は,多方向から3次元的に照射することで,コプラナー照射に比べ,周囲の正常
組織への線量を抑えながら,標的への線量を集中させることが可能である。
●
特に,横断面(同一平面)でターゲットがリスク臓器に周囲を囲まれているときに有効である。
●
SRTで用いられることが多い。
●
適応:頭部,肝臓,肺など
▲
ノンコプラナー照射の概要
a
:コプラナー照射
b
:ノンコプラナー照射
原体照射とCRTの歴史
日本において原体照射は「光子線ないし粒子線ビームを用いた2次元ないし3次元方向からの回
転運動照射で,どの方向から見ても照射野形状がターゲットに一致している照射法」とも定義されて
いる。そのため,日本において原体照射は回転照射のみであるとの認識が強い。
一方,海外では線量管理,品質保証などの観点から回転照射はあまり行われず,固定多門照射が一
般的であった。そのため,通常照射の延長上にあるconformal radiation therapy(CRT)は固定多
門照射を含むものとの認識が強い。CRTは原体照射と訳されるものの,世界的には回転照射のみな
らず固定多門照射も含めてCRTとしており,日本における「原体照射」と世界における「CRT」は
わずかにニュアンスが異なっていた。
なお,IMRT(強度変調放射線治療)は「三次元原体照射の進化形」と定義されており,三次元原
体照射や3DCRTに分類されない。
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