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  8 ノンコプラナー照射

通常,ガントリは患者の体軸に対して同一平面上を回転して照射を行う。これをコプラナー照射とい

う(

a

)。

コプラナー照射に対し,治療寝台(患者の体軸)の向きを変え,ガントリを回転させると3次元的に

あらゆる方向から照射が可能になる。これをノンコプラナー照射という。

ノンコプラナー照射によって行われる原体照射を三次元原体照射という。

ノンコプラナー照射は,多方向から3次元的に照射することで,コプラナー照射に比べ,周囲の正常

組織への線量を抑えながら,標的への線量を集中させることが可能である。

特に,横断面(同一平面)でターゲットがリスク臓器に周囲を囲まれているときに有効である。

SRTで用いられることが多い。

適応:頭部,肝臓,肺など

 ノンコプラナー照射の概要

a

:コプラナー照射

b

:ノンコプラナー照射

 

原体照射とCRTの歴史

日本において原体照射は「光子線ないし粒子線ビームを用いた2次元ないし3次元方向からの回

転運動照射で,どの方向から見ても照射野形状がターゲットに一致している照射法」とも定義されて
いる。そのため,日本において原体照射は回転照射のみであるとの認識が強い。

一方,海外では線量管理,品質保証などの観点から回転照射はあまり行われず,固定多門照射が一

般的であった。そのため,通常照射の延長上にあるconformal radiation therapy(CRT)は固定多
門照射を含むものとの認識が強い。CRTは原体照射と訳されるものの,世界的には回転照射のみな
らず固定多門照射も含めてCRTとしており,日本における「原体照射」と世界における「CRT」は
わずかにニュアンスが異なっていた。

なお,IMRT(強度変調放射線治療)は「三次元原体照射の進化形」と定義されており,三次元原

体照射や3DCRTに分類されない。

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