162

  7 原体照射

原体照射の定義は,

「複雑な病巣の広がりに,できる限り一致した高線量域を形成するとともに,病巣

周囲の正常組織への被ばくを,最小限度に抑えるように工夫された照射法」とされている。

病巣に線量を集中させる方法は,MLC(可変絞り装置)が主流である。

原体照射は2次元的に照射する場合と3次元的に照射する場合に分けられる。

2次元的に照射する方法として,コプラナー照射がある。

3次元的に照射する方法として,ノンコプラナー照射があり,これを特に3次元原体照射や3DCRTと

いう。

6~10 MV X線を用いて回転照射やノンコプラナー照射によって照射される。

脳腫瘍における定位放射線治療(SRT)はセットアップマージンが1~2 mm程度であるため高精度な

位置合わせが要求される。

着脱可能な固定具システムを用いることが多い。

図は脳幹(リスク臓器)に近接した脳腫瘍に対するSRTである。

平面照射のみでなく,頭頂方向から回転照射などを用いて,脳幹への線量を低減している。

SRTでは1回大線量が用いられることから,リスク臓器への照射に対して特に注意が必要である。

リスク臓器:脳幹,眼球,視神経,視交叉,水晶体,中耳など

 原体照射の種類

3次元的

・コプラナー(coplanar)照射による

・ノンコプラナー(non coplanar)照射による

・3次元原体照射

・3DCRT(three-dimensional conformal radiation therapy)

・CRT(conformal radiation therapy)

原体照射

2次元的

 脳腫瘍の治療計画例

a

:Transverse画像

b

:3D画像

脳幹

(黄色)

眼球

腫瘍

(ピンク)

ビーム

(赤矢印)

脳幹

(黄色)