93
第
1
章
第
2
章
第
3
章
第
4
章
第
5
章
第
6
章
第
7
章
第
8
章
第
9
章
第
10
章
第
11
章
第
12
章
5
放射線治療計画装置(radiotherapy treatment planning system:RTPS)
1 放射線治療計画立案の流れ
●
放射線治療計画装置ではCT画像(CT値)の情報を活用し,線量計算を行う。
●
本項では,前立腺を例に治療計画立案の流れを説明する。
▲
RTPSで行う実際の流れ(前立腺の場合)
①
体輪郭の定義
●
人体の輪郭(体輪郭)を定義する。
●
線量計算は体輪郭の内部で行われ
る。
②
各種体積の定義
●
標的(PTVまで)とリスク臓器を定
義。
●
必要に応じ,fusionしたMRIやPET
画像も参照する。
③
基準点の設定
●
アイソセンタ(回転中心)および
ICRU基準点
(reference point)の設定
④
ビームの設定
●
照射方式(門数,回転照射等)
●
照射野の設定(MLC, Jaw)
●
ガントリおよびコリメータ角度
●
ボーラス等の設定
⑤
線量の設定
⑥
線量評価
●
PTVへ十分な線量が与えられるか?
●
OARの線量は?
①
線量計算を行う領域として,人体の輪
郭を定義する。体輪郭の定義では,通
常,閾値を設定することで,半自動的
に行うことができる。
②
標的およびリスク臓器を定義する作業
をc
コンツーリング
ontouringと呼ぶ。標的を定義する
際はCT画像のみでなく,MRIやPET
画像が参照されることもある。
③
多門照射の場合には,ガントリを回転
させる時の交点となるアイソセンタ
(回転中心)を設定する。多くの場合,
アイソセンタは照射したい領域の中心
付近に設定される。さらにICRU基準
点を設定し,処方線量の規定に用いる。
④
照射方式(門数,固定or回転)を決定
する。照射門ごとに照射野を決定し,
線量分布を表示させる。MLCの設定
は,PTVに必要なマージンを付加する
ことで,半自動的に設定することも可
能であるが,リーフごとに微調整する
ことも可能である。
⑤
照射野決定後,各門からの線量
(weight)をどの程度にするかを決定
する。
⑥
全照射野からのビームを合成した合成
線量分布を表示し評価する。線量分布
図はカラーマップや等線量曲線(isod-
ose curve)で表示される。より客観的
な線量評価法として,線量体積ヒスト
グラム(DVH)がある(☞
96ページ
)。
アイソセンタ
④⑤⑥
を繰り返し,最も理想的な照射条件を決定する。