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自前の「ネタ帳」を肌身離さず持ち歩くことをお勧めする。このシンプルな方法を,多くの作家やお笑い芸人たちも実践しているそうである。日常の中で,「面白い」と感じたことはふだんからメモを取る。すぐに使えそうなネタ,使えるかどうかわからないネタ,もっと練らないと使えないネタ,何でもその場でメモを取る。そういった習慣は,臨床研究を実践したい若手研究者にもきっと役に立つであろう。日常臨床で遭遇するふとした疑問を,診療の合間に書き留めておくのである。「ネタ」の出所は,診察室だけとは限らない。検査室や手術室で「ネタ」に遭遇するかもしれない。カンファレンスや症例検討会,論文抄読会の最中に,「ネタ」が浮かぶかもしれない。   1 クリニカル・クエスチョンを紡ぎ出す日常臨床の現場で,次のような疑問を抱くことはないだろうか?  「この症状はこの疾患と関連しているのだろうか?」「この患者に対して,この治療はどれぐらい効果があるのか?」「この検査を追加すると診断の正確度はどれぐらい上がるのか?」このような日常臨床の現場で生まれるありのままの疑問を,クリニカル・クエスチョン(clinical question,CQ)と呼ぶ。CQは臨床現場にいる臨床家にしか思いつかない。このようなCQこそ,臨床研究の「ネタ」になるのである。26(1) クリニカル・クエスチョンは現場に転がっている

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